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2004/11/11

おしんの「しん」は親切の「親」

 おしんの「しん」は辛抱の「辛」ではなく革新の「新」だと書きました。実はもうひとつ隠れたキーワードがあります。おしんの「しん」は親切の「親」です。今言うところの顧客満足です。日本髪の技術を流行りはじめの洋髪にむけて成功したのですが、その時の顧客は当時流行りはじめたカフェの女給です。伝統的な日本髪を結う女性が多い中で、洋髪を結いはじめたのはやはり貧しさから抜け出すために新しい仕事に就いた女性たちだったのです。彼女たちの多くは文字を書くことが出来ないのです。山形の奉公先で読み書きをしっかり仕込まれていたおしんは、達筆な文字で彼女たちの恋文の代筆をしたのです。それがリピート、口コミを支えたのです。「技術がいい」は当然ですが、それを支えたのが恋文の代筆でした。少々同業者より高くても選ばれるのです。伊勢で魚の行商をはじめたときも当然先発の行商人がいるわけですから、後発のおしんが子連れで箱車を押して一日中足を棒にして歩いてもさっぱり売れません。お客だって当然馴染みの行商人に不義理をする嫌な思いまでして、店を変える気にはなれないのです。変えるには相当の理由が要ります。夕暮れまで歩いてさっぱり売れないおしんは、とうとうタダで魚を配ってしまい箱車を空っぽにして戻ります。諦めたのではなのです。翌日また箱車に魚を満載して、今度は魚の価格を幟に大書して回りはじめるのです。いままで相対売買で不透明な価格をはっきり明示しました。今度は夕暮れを待たずに完売です。それもそのはず昨日配ってしまいましたから、今日の魚は売れ残りは一匹もありません。新鮮そのもの、その上に昨日タダでもらった義理があります。義理は子連れの姿への同情に変わります。その上に価格は明示されリーズナブルとくれば売れない訳はありません。高品質、義理人情、価格と三拍子揃っています。まさに親切の「親」ここに極まるです。顧客満足経営の元祖、戦後のスーパーも大成功です。「辛」「新」「親」三つの「しん」があればいつの時代乗り切っていけることをおしんは身を持って教えてくれています。若いひとたちには老中がまた「辛抱」という価値観を押し売りするという先入観を捨てて、「新」「親」の視点で一度は見て欲しいドラマではあります。

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コメント

「情報は受けての勝手」の原則があって、受け止め方は自分の都合でいんです。情報はすべて客観的なもの、正しいものはなくて、すべて眼にはみえない、送り手の意図(視点、価値観など)が入っているので、裏読みしておくことが大事です。このブログだって同じですね。批判的に読む、読まれることが大事だと心して書いています。

投稿: 懐中電灯 | 2004/11/15 10:07

一つのドラマでも色々な見方ができますね。ビジネスも心が無いと間違った方向に行ってしまうのですね。

投稿: 山本権兵衛に憧れて | 2004/11/12 06:31

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