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2005/02/01

ローマはなぜかくも長く続いたのか?

塩野七生がローマ人の物語第一巻を出版したのが1992年、毎年秋になると書店の店頭にいつ並ぶのか楽しみにまっています。若い頃から大のフアンで塩野七生の名前を見つければ片端から手にしていた僕も彼女の年齢から、最後まで続くのだろうかと心配しながら読んでいましたが、ついに十三巻、あと二年で完結となると完結前から一抹の寂しさを覚えます。出版に当たっての塩野七生は「ひとは皆ローマは何故滅びたかを問う、私は何故かくも長くローマは続いたのかを書きたい」と述べていました。しかしそれも第十一巻から衰亡期に入ってきました。日本経済の衰退期と重なるこの大作の刊行は日本のリーダー層に大いなる示唆を与えているのですが残念ながら届かないようです。
 この連載の中で何度かローマの税制が取り上げられています。ローマの税制はいたってシンプルです。ローマ市民は無税ですが、その代わりローマ帝国全土を守る義務を負っています。ローマに征服された属州民は収入の10分の1税で、それ以外の直接税はありません。10%払えば、周辺の外敵からローマが守ってくれて、安心して農業、商業を営めるのですから、属州民も安全保障費として喜んで支払います。消費税は帝国民全員に1%だけだったそうです。江戸時代の日本では五公五民でそれを超えると一揆が起きたり、逃散したといいますから、いかにローマが軽税国家だったか想像がつきます。塩野七生がはっきりと「間接税だけではとめどなく貧富の差が拡大する」と書いています。そのために初代皇帝アウグストゥスは名誉とお金を引き換える工夫をしています。ローマ市民が5%の相続税を払えば財産を他人に遺贈する名誉を得ることができます。有能な若いひとをに贈与して育てたり、奴隷の価格の5%を払えば奴隷を解放する名誉を得ることができます。大浴場、道路工事など公共工事も作ったひとの名前を冠する名誉与えて、みずから率先して作ったので、金持ちは争って公共工事を私費を投じて名誉を得たといいます。税金で取り上げて公共工事をすると政権が危うくなりますから自らの意思で差し出すという方法を編み出したのです。翻って今日の日本はどうでしょうか、銀行救済、産業再生に血税を投じ、高速道路、新幹線と公共工事は留まることを知りません。一般庶民は一揆も起こせず逃散もできず立ちすくんでいます。タイムマシンで古代ローマに逃げませんか。しかしそのローマ第十三巻紀元三世紀いよいよ税金大国へと変貌し滅亡への道を辿っていきます。
 

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コメント

そうではないのです。民は常に納める側です。税金大国になるのはその国の権力者、エリートの堕落です。経世済民を忘れて、自分たちの地位の保全と自分の贅沢のみを考えるようになって、カネがかかるようになり、それを税として取り上げるようになるからです。今の日本もまったく同じで、消費税が上がると直接税、間接税あわせるとまもなく庶民は五公五民になるでしょう。

投稿: 懐中電灯 | 2005/02/02 21:07

今の日本の現状、ローマの税金大国への変貌は民が賢くなったから起きたのでは?と思います。『名誉がいくらあっても食えないよ』と聞こえてきそうです。私にもそうゆう所があります。でもなんとなく味気ないですね。こういう所から古きよき時代へのノスタルジーが生まれてくるのかな?

投稿: 山本権兵衛に憧れて | 2005/02/02 09:24

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