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2005/05/28

社員(労働者)受難の時代

好きな言葉ではないのですが、ここではあえて労働者といいますが、北千住の踏み切り事故、尼崎の脱線事故ともに鉄道に関する事故が連続しておきました。その責任が現場の社員(労働者)に責任を課せられています。もちろん直接的な原因は現場の当事者にあるのはもちろんです。したがって社内に対する責任は本人にありますが、社会(お客様)への責任は会社、その上司、経営者にあるはずです。会社とお客様の間で板ばさみになった社員は事故がおきない限りその重圧から開放されません。誰も現状を改善しようとしないからです。「ムリ、ムラ、ムダの排除」「能率、効率」「コストダウン」という経営者のもっともな?要望に答えなければ自らの存在理由を問われるからです。そして事故が起きると当事者の責任が強調されます。

 おかしな時代になってしまいました。その一方で、経営者は現場で矛盾することにも気がつかずイノセントに「顧客満足(CS)」とか「お客様第一主義」「CSR」を声高に叫ぶのです。後者を追及すれば、「ムリ、ムラ、ムダ」が発生し、「能率、効率」は悪くなり、「コストが上がる」のは当然です。そういう矛盾を社内に徹底させることが経営者の宿命だと思う僕としては、経営者がこの矛盾を悟った上で経営していく必要があると思っています。さすれば現場は悩んだ末はどちらを選択するか明白です。「そうはいっても」現実には多くの企業で違っています。現場を評価するのは上司であってお客様ではないのです。現場は上司を向いて仕事をしてしまいます。お客様は会社全体を評価しているはずです。ということはやはり現場に対する対外的な責任は経営者に帰せられると思います。
 日本で顧客満足が言の葉にのぼりはじめた1990年頃、ある大手の労働組合から招かれ執行部の方々に「顧客満足」をテーマに講演をしました。執行部は組合にとって顧客は組合員だというのです。ベルリンの壁が崩壊して社会主義政権が倒れ、かすかな拠りどころすら失った今日、お客様を拠りどころとして労働組合にとってのお客様は組合員ではなく末端の顧客であると認識して、顧客満足を守るのは労働組合だ!という気概を持たなければ、組合の存在意義はないのではないかと申し上げたのです。若い頃労組の執行部の末席を汚したこともあり、ムリは重々承知なのですが、社員がもしこの矛盾の剣が峰に立たされたとき支えることができるのは唯一労働組合だと思ったからです。今回の二つの事件でも労働組合からの発言は聞こえてきません。若い頃から資本論は読みませんし、社会主義政権を支持するつもりもさらさらありませんでしたが、崩壊してみてはじめてその存在意義が見えてきます。
 イラク攻撃もこれほど容易に、これほど徹底してはできなかったことでしょう。あまりムリをすればソ連側に取り込まれてしまうからです。強者が覇を競っている間は、弱者は強者の力の均衡の狭間で凌ぐことができますが、一方の強者がなくなるとその狭間がなくなり、一方的に押しまくられてしまいます。米、中、露、EU強国同士が暗黙の了解で、弱いものいじめができる時代になりました。それがグローバリズムの正体かもしれません。21世紀こそ弱者受難の時代かもしれませんね。敗者にならないように強者に尻尾を振らず、自律して知恵を働かせるか、永遠に来ない救世主としてNewマルクスの再臨をひたすら祈るしか道はないのでしょう。

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コメント

TB有難うございます。
「道徳無き経営は、経営にあらず」「経営無き道徳は、経営にあらず、むなしき」こんな言葉があるかどうか解りませんが、このハザマで、いつも迷います。究極を言えば、「社員の評価なんて出来ない」が、本音です。「現場を評価するのは上司であってお客様ではないのです」←実はそうですね。ともだちさんが「受難の時代・・・」で言われている事を、社員と共に「悩み、考える」事が出来る様にしたいと思います。

投稿: Zakkan | 2005/06/07 14:32

いいところに気がつきましたね。①お客様が商品を手に取ったとき、②レジを済ませたとき③駐輪場を出たとき、④口に入れるまで、
売り手がどこまで責任を取るかお客様との信頼関係構築のチャンスがあります。雑草さんは若いから知らないかもしれません。以前顧客満足の教材にもなりました。伊丹十三の映画「スーパーの女」を是非見てください。以前勉強した大人ももう忘れています。いまはCSではなくCSRという流行に乗っているのでしょう。本質、原則を掴んでいないからです。

投稿: 懐中電灯 | 2005/05/30 10:43

本当の顧客満足をすると『ムリ、ムラ、ムダ』がだますね。
私、本当の顧客満足だなと思ったのが、あるスーパーです。ここではお客様が自転車置き場で買い物袋を落として生卵を割ってしまったのを見かけた店員が割れた卵を『惣菜に使いますから新しい卵をどうぞ』と言って交換してあげられたそうです。
私はそれを聞き素晴らしいと思いはしましたが我が社を想定した時恥かしながらコストが一番初めに思い浮かびました。

投稿: 雑草 | 2005/05/30 09:13

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