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2005/06/02

八ヶ岳を歩く

  <朝日に残雪が映える盟主赤岳>pict0048   2005年5月28日茅野駅から乗った諏訪バスを終点美濃戸口で下車、十名ほどの乗客はすべて登山客、三々五々それぞれ今日の目的の小屋を目指して歩き始めました。僕の今日の行程はところどころに残雪の残る樹林帯を抜け、標高2、800メートルの阿弥陀岳を経て、八ヶ岳最高峰赤岳2899メートルの頂上を目指します。泊まりは赤岳頂上小屋、名前に偽りなく、頂上そのものに建っている山小屋です。五年前下車したときは夏の暑い日でした。満員のバスから吐き出される登山客めがけて「朝食はバイキング、シャワーつきです」「予約をどうぞ」と山小屋の案内から声がかかります。2、800メートルの稜線の小屋で、朝食バイキング、風呂付とは35年前、若い頃の登山風景とは様変わりです。呼び声と温泉と天秤に掛けて赤岳頂上直下の赤岳鉱泉小屋を選びましたが、今回は温泉と頂上のご来光を天秤に掛け、温泉の楽しみは翌日に回して好天に賭け頂上小屋を選んだのです。

pict0036 頂上に着くと日は西に傾き、山の東側は真っ白い雲が昇ってきます。その立ち上る白い雲に手足の長い黒い人影、「やったあブロッケンの妖怪だ!」自分の姿が黒い陰になって映る珍しい現象です。思わず老中を忘れて両手を高々と上げて影に答えながら、傍にいる若いグループに大声で「おおいブロッケンがでたぞ!」と声をかけました。頂上でひと時若いひと達とおおはしゃぎでした。翌朝4:00起き、一瞬雲間に太陽がまるく鈍い赤色を見せましたが、残念ながらご来光は雲の中、そのまま小屋を出てしばし稜線を歩いていると、東から昇る太陽、西の谷間から霧が上がってきます。なんという幸運またまたブロッケンの妖怪です。赤岳から横岳、硫黄岳の間はガイドブックではカニの横這いなど危険な所と書かれていたりしますが、鎖場、鉄梯子で整備されていて、ほどよい緊張感とスリルが味わえて八ヶ岳の中でも岩峯の醍醐味を存分に味わえるところです。今日の目的は日本一最高所の露天風呂、ところが出立が早かったので、硫黄岳を下り夏沢峠に着いたらまだ8:00、若い頃の山歩きだったら、時間がもったいないから天狗岳にそして中山峠へと北八ヶ岳に踏み込んだことでしょうが、ここは老中はやる心をじっとこらえて、今日の目的本沢温泉露天風呂目指して下りはじめました。温泉から登ってくる人たちはみな怪訝な顔をしますが、「朝風呂に入りたいから」というと納得「昨日入ったけどいい風呂でしたよ!」と声を掛けてくれます。さすがに朝9:00頃から山で露天風呂に入る人がいるはずもなく、たった一人で標高2,160メートルの露天風呂を独り占めすること二時間。小鳥のさえずり、沢の音を聴きながらポケットにねじ込んできた梅原猛の「最澄と空海」を読むという贅沢を味わうことができました。pict0052 西暦804年第一船に最澄、第二船に空海が乗船して四艘の船で唐の都を目指した第十八次遣唐使は、暴風雨に見舞われ大陸にたどり着いたのは第一船と第二船のみだったそうです。やはり神様は存在するのかもしれませんね。輸入品の仏教を日本化して昇華させ、日本仏教の礎を築いた超偉人の二人がこのとき遭難していたら真言密教はもちろん、最澄が開山した比叡山に学んだ、法然、親鸞、道元、日蓮などなど名だたる名僧は生まれず、鎌倉仏教は存在しなかったことになります。日本に入った大乗仏教は最澄、空海によって日本古来の森の信仰と融合し日本化したものだと梅原猛は書いています。それではと露天風呂を飛び出して、鬱蒼としたシラビソ、米栂、白樺の原生林の中、風倒木をまたぎ、沢をよぎって三時間さらに森林浴を楽しみ、バスを待つ時間を八ヶ岳登山では知る人ぞ知る古くからの名湯、稲子湯の炭酸泉に浸かり、湯上りの缶ビール一本、贅沢三昧に浸った山行でした。

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コメント

楽しんでらっしゃいますね。羨ましいです。私、明日から二泊三日で北海道の名寄にいきます。今話題の旭川動物園もみれたらいいなと、思っています。

投稿: 雑草 | 2005/06/02 07:25

山を愛する人のキモチが伝わってきました。

その「時」をいかに気分良く過ごすことができるのか、山にはいろいろな感動があるのですね。 本当の贅沢とは何か? とても嬉しいキモチになりました。

投稿: 市川 稔 | 2005/06/02 04:49

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