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2005/12/29

蝉しぐれ-その2大人の濡れ場

映画「蝉しぐれ」のラストシーンは初恋の男女が長じた末の大人の濡れ場です。その伏線が中盤、おふく母子を救出するために対面した折の会話です。藩主に寵愛され、世継ぎ候補を生んだ幸せなおふくが、幼い頃恋した文四郎に「お子は?」と問うのです。「今だ縁なく一人身です」という答えに、おふくは、かすかに後ろめたさを感じるのですが。

映画のクライマックスで母子を無事救出し、お家騒動も収まり、文四郎もその功によって加増にも預かります。最終章それから20余年後、おふくの子は藩主となり、おふくは髪をおろし仏門に入る決心をしますが、今生の別れに会いたいと「一筆参らせ候・・・・・・」と文四郎に「『逢いたい』と文を出します。そして再会の場面です。おふくは再び「お子は?」と問います。文四郎は「お陰さまで二人恵まれて」と答えるのです。二人の間の平衡が戻った瞬間です。「文四郎さんのお子が私の子で、私の子が文四郎様のお子であるようなことはあったのでしょうか」おふくの問いに、文四郎は「それが心に悔いとして残っております。」と答えるのです。それでジエンドです。
 籠に乗って門を出るおふくと見送る文四郎、籠の隙間からおふくの白い指が微かに、そっと出ます。文四郎も頭を下げ見送りながら、それを見逃しません。幼い頃蛇に噛まれた指、その毒を吸い出した文四郎、お互いの微かな、密かな想いが憎いほど見事に表現されています。若い頃の自分ならきっと再会の出会いでは何事か秘め事を想像しますが、監督は老中の我々に、それはきっとあなたの未熟さ、言葉でも十分到達する男女の世界があると気づかせてくれています。テレビドラマでも放映されたそうですが、見逃していました。宮沢りえのおふく、木村佳乃のおふくを比べてみたいですね。宮沢りえがキャストなら、最後の場面は秘め事を想像させる演出になったのでは?と想像しますが。

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コメント

本当のことは当事者にしか分からないのでしょう。自分が当事者でないことは、そのことを知った上で、分かるための努力をが必要ですし、当事者も伝える努力が必要ですね。いまコミュニケーション力が重要視されているのも、この伝える力ではないでしょうか

投稿: 懐中電灯 | 2005/12/31 11:16

第三者から見たら自然な風景が二人(当事者)には大変意味のあるモノ。
これも大切な目に見えないモノですよね。

投稿: 雑草 | 2005/12/29 08:01

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