« 渡良瀬遊水地の春 | トップページ | 渡良瀬遊水地の葦焼き »

2006/03/23

株式時価総額の誤解を解く

ライブドア事件で株式時価総額が問題になりました。最大額8,200億円から一夜にしてて690億円に縮減してしまったからです。7,500億円が吹っ飛んだことになります。しかしこれは計算上であって、実体としての資産やお金が吹っ飛んだわけではありません。株式市場に8,200億円のお金があったわけでもなく、現在690億円のお金が残っているわけでもないのですがテレビの報道などを見ていると、そう錯覚している方が政治家の中にも結構いるようです。そこでシンプルに時価総額の仕組みを整理してみました。
 

Aさんは自ら一単位500円の株式一万株、総額5百万円で起業しました。幸い会社が成長しましたが、後継者に恵まれなかったので社員の将来を考えて、株式を上場することにしました。自分の持ち株一単位を株式市場で売却し、Xさんが株価30、000円で購入しました。3万円はAさんの懐に渡ります。XさんはA社の株券一枚を手にしました。ところがA社の株式時価総額は30、000円掛けるAさんの持ち株9、999株足すX氏の1株合計一万株を掛け算した3億円になります。
 Aさんがさらに一株売却して今度はYさんが株価80、000円で購入しました。すると今度はAさんの持ち株9、998株、X、Yさんの2株を加えた一万株、掛ける株価80,000円で時価総額8億円になりました。Xさんは50、000円儲けた気分になっていました。時価総額8億円と囃しても、株式市場に投入された資金はXさんの3万円+Yさんの8万円、計11万円に過ぎないのです。その11万円もAさんが株券と引き換えに株式市場から持ち出していて、株式市場そのものは築地の魚市場と同じで空っぽなのです。違うのは周囲に店を張っているのが魚の仲買のお店ではなく、証券会社だということです。最近は金融自由化で銀行、郵便局も店開きを始めています。広く庶民に鮮魚ならぬ株券販売の仲介するためです。
 A社の実態は生きている会社そのものです。5百万円で創業したA社の現在の企業価値と、時価総額8億円とはまったく別次元のものです。時価総額はたまたま株式市場での出来事それもこの計算の仕組みによっているのです。
ライブドアの株価も特捜の捜査が入った翌朝から前日の終値696円から五日間取引のないままに176円まで実に516円下落しました。この間株主は換金もできないまま呆然と暴落を見続けていたのです。大量に保有していた方、とりわけ信用取引で買っていた方など、まさに自分が生きながら地獄へ転落していく様をなすすべもなく見続けていたのです。このこと一つとっても天国と地獄は、あの世にあるのではなくて、この世にそして自分の心の中にこそ、あることがわかります。
 ライブドア事件で時価総額経営に疑問符がつきました。しかし光通信やソフトバンクが時価総額経営を標榜した1999年から2000年の株式市場は、後にITバブルといわれ、これで時価総額至上主義は終わったかにみえました。しかし株式分割という新たな手法、雑誌書籍に煽られた個人の小口株主の増加によって、さらに増幅されてしまいました。
 きっと喉もと過ぎればの格言どおり、違った手法、違った理由でまた同じことが繰り返されるに違いありません。今回巻き込まれなくて胸を撫で下ろした個人投資家が新たな犠牲者になるかもしれません。それ以上に心配なのはこれから新たに株式投資に手を染めてくる人々のことです。くれぐれも今回のライブドア事件を他山の石とし、雑誌書籍のキャッチフレーズに踊らされず、売り手の親切に惑わされず慎重にしたいものです。

|

« 渡良瀬遊水地の春 | トップページ | 渡良瀬遊水地の葦焼き »

コメント

「いかに大きく儲けるかでわなく、いかに支出を抑えるか」金持ち父さんが私にとっては一番最初の経済本だったのですが、その本にも書いてあった記憶があります。”何がお金を生むのか”見極めるコトが大切なんですね。

投稿: 雑草 | 2006/03/24 08:14

株式投資を始めるなら、儲けるつもりはやめて一生続けるつもりで、いかに損を小さく、致命傷を負わないように、分散第一にやってください。アレキサンダー・エルダーの「投資苑」を座右においてにわか評論家の著書に惑わされないようにしてくださいね。

投稿: 懐中電灯 | 2006/03/23 10:39

一株の値段掛ける発行株数なんですね。今から株式投資をしてみようと思っている私にはショッキングなブログでした。

投稿: 雑草 | 2006/03/23 08:17

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/9186280

この記事へのトラックバック一覧です: 株式時価総額の誤解を解く:

« 渡良瀬遊水地の春 | トップページ | 渡良瀬遊水地の葦焼き »