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2006/06/23

本当は明るい「楢山節考」

毎々コメントをくれる雑草さんありがとうございます。最後まで見ることができなかったようですね。優しい心がスイッチを切らせたのでしょう。過去にも楢山節考を多くの方に薦めてきました。どうしてもリストラクチャリングをしなければ存続ができな状況にある企業の幹部の方などにも積極的にお薦めしてきました。「おりん」と辰平」双方立場を分かって対処することを願ってお薦めしているのです。
 「見るのが辛かった」雑草さんのように「最後までみることができなかった」という感想を漏らした方が多いのです。とりわけこれからリストラに取り組む担当部署の方は「テープを探して全員で泣きながら見た」という方もおられました。

 映画を観て「暗い」という感想をもたれる方が多いのですが、今の日本の世相と比べてさて本当に暗いのはどちらでしょうか?
「食料が足りないから70歳になると無条件に楢山入り」
「盗みを働いた一家を村中総出で生き埋めに根絶やしにする」
「亭主が死んだその数日後には口減らしのために後妻に入る」
 表面的な現象を現在の日本人の暮らしぶりから想像すると「暗い」となるのはもっともですが、人々の心の有り様をみたらいかがでしょう。乏しい中で,逞しく生きる庶民の姿があります。おりんが自ら村の掟を守り、渋る辰平を急き立てて、楢山入りをします。辰平は持参した弁当を置いて帰ろうとしますが、どうせ死ぬ身には不必要なものですから「もったいない」と持ち帰らせます。おりんの覚悟がみえる場面です。辰平が山から下山すると初雪が降りてきます。辰平は山を見上げて「おっかあよかったな」とつぶやきます。過去の行いがいいと、楢山入り後直ちに雪が降って迷わず死ぬことができるのです。行いが悪いと暖冬でなかなか死ねないで、飢えて苦しむのだそうです。生きることを「次代に托す」明るさがあります。
 今の日本人は子供にも「もっと」「もっと」を要求します。「偏差値50なら60」「60なら70」をと望むのです。僕も親の一人として分からないわけではありませんが、それは親の欲が言わせているのではないでしょうか。過度な期待は子供を破壊してしまいます。
 定年も65歳に延長されましたが、政府は年金を払いたくないので、さっさと法案を通してしまいます。次は68歳?その次は?そして当然のごとく天下りも正当化されます。
 一律年令で決めるのはおかしいという意見が多いのですが、そこが官僚の狙い目、おりんの覚悟の姿をみるとさてどうでしょうか。

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コメント

ご無沙汰しております。僕が楢山節考を見たのは23年ほど前、その後も2度見ました。

涙腺が緩む場所は人によって違うとは思いますが、僕が震えてしまった場面は有名なおっかあ雪が降ったなというシーンです。山の神様は存在のしるしとして雪を降らせるという言い伝えがあり、おっかあを置き去りにした時、雪が降るという共時的な出来事が起こり、単なるくちべらしから
出来事を神話的に昇華させ山の神のもとに旅立つことを暗示させる場面です。辰平に自分を投影してしまい湧き出る涙を抑えることができませんでした。日本映画歴史に残る名作のひとつだと思います。

投稿: komeya | 2006/07/06 14:18

ご無沙汰しております。
1913年6月生まれの母親が満93歳の誕生日を迎えました。庭の手入れと食事の後片付けをしています。下の世話とかまだ心配ありません。目が薄く耳も遠くなってきています。
 冬に家内がびっくりして連絡を寄越したのが家の中が焦げ臭いと言ってあわてました。外で濡れた手袋をストーブの上で乾かして焦がしてしまいました。これには参りました。鼻も利かなくなって来ています。
 週に2日だけ2時間の老人クラブに行っています。姉と私と都合で交代しながら送り迎えしています。こわい、こわい(北海道弁で疲れたとか体がだるいとかですが)と言い「早く向こうへ行きたい」と言います。
 それを聞かされても寿命なんだからと言い返しますがこの親に見透かされている自分の方がシンドイです。

投稿: うす紫式部 | 2006/06/25 15:15

区切りがハッキリしてるから頑張れる、辛抱できるという部分もあるのかもしれませんね。

投稿: 雑草 | 2006/06/24 08:03

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