« 薬物中毒、消費者金融そしてHIV | トップページ | 臓器移植の問題 »

2006/09/26

「神殺しの日本」梅原日本学入門

書名        「神殺しの日本」
サブタイトル       「反時代密語」
著者        梅原猛
出版社      朝日新聞社
 前半は朝日新聞に連載されたもの、後半は日経新聞の私の履歴書の加筆版です。、最近は梅原古代学といわれたり、梅原日本学といわれる、梅原哲学の門を叩く書として好適です。

 腰巻にも印刷されていますが、この本の中で梅原猛は「近代日本は二度神を殺した」と書いています。第一は明治維新、明治新政府は日本を近代化するために、廃仏毀釈で仏を殺し、天皇を現人神とすることで日本の神々を殺しました。第二は太平洋戦争に敗れ、天皇は「人間宣言」をしました。それまで神と崇めてきた天皇、「大君のために死ね」「死んで靖国で会おう」と誓った神が実は自分達と同じ人間だったといわれた我々の親世代は、価値観の崩壊の危機に瀕したことでしょう。二度神を殺すことで、日本から神や仏を一掃してしまいました。それが日本人無宗教、無道徳となって表れていると書いています。
 梅原猛は多くの歴史学者や哲学者と違って、靖国問題、脳死問題等々、今日の日本の社会問題にも積極的に発言してきた方です。西欧文明の限界、日本の行く末など今日的課題を考える視点になると思います。
 自分自身、この20年ほど折に触れて、梅原猛の著作を乱読してきました。すっかり梅原猛フアンになり、その哲学にしっかりかぶれています。
  

|

« 薬物中毒、消費者金融そしてHIV | トップページ | 臓器移植の問題 »

コメント

コメントありがとうございます
<hatoさん>
 仰るとおりです。さて自分はいかに生きるか?
ですね。

投稿: 懐中電灯→hatoさんへ | 2009/07/20 10:13

 政治学者の小室直樹さんは、20年以上前の著作である「偏差値は日本を滅ぼす」等で、「戦後の日本は昭和天皇が、人間宣言をしたことを契機とする、「急性アノミー」状態にあり、近未来の日本では規範や連帯感が失われ、親子兄弟等の殺し合いが日常的に起こるだろう」と述べています。

 そして、その通りのことが今の日本で起きています。

 ちなみに「アノミー」とは、建物の土台となるものが崩れることで、建物全体がかの貿易センタービルのように、崩壊することが社会全体に起こることを言います。
 また、規範や連帯感が失われることで、人の心も壊れていきます。

 この梅原さんの著作でも、おそらく小室さんの持論と同じ内容が書かれていると思います。
 また、小室さんは天皇という存在が、この国の近代化を語る上でどれほど重要な役割を果たし来たかも、複数の著作で論じています。

 ですが、だからと言っていまさら天皇陛下に、もう一度神になってもらうという選択肢はあり得ないでしょう。

 だとすれば、この国が今の状況から脱却するには、天皇に代わる新たな礎が必要ということです。

 それは、禅の思想や、般若心経及び陰陽五行論を中心とする、東洋の英知なのでしょう。
 

投稿: hato | 2009/07/12 06:05

コメントありがとうございます
アントニオさん
ひとと出会って長いお付き合いができるのは、とてもうれしいのですが、本を通して長い付き合いができる著者とめぐり会えたらこれもとても有難いことです。まして壮老期の出会いは自分にとってとても大切です。哲学者梅原猛もそんな大切なひとです。
 脳死臨調「脳死の是非」についても、とても納得のいく反対論を述べています。「死者への愛のために、死をできるだけ遅く認めることが人類のゆかしい風習であるのに、心臓が鼓動している、身体の温かい人間を死者として判定することは許されない」と述べ、その上で「家族の同意ではなく、本人の意思表示による臓器提供、臓器移植は必ずしも反対ではない、何万分の一かもしれない生の可能性を放棄して他人の命を助ける菩薩の行為として容認する」と述べています。
 この論にすっかり納得して、それ以来家族にも納得してもらいドナーカードを携帯しています。ドナーカードを携帯していると、可能性が残っているのに、取られてしまうのではないかと心配で、親しい医師に聞いてみましたが「心臓が止まるのが少し早いだけだ」といわれ納得しています。生きているうちは、それほど役に立つことができるはずもないので、幾ばくか他人に役立てばいいと、今のところすべてに丸つけて携帯しています。自分の気が変わるのではないかと不安を抱きながら。

投稿: 懐中電灯 | 2006/09/29 09:17

僕は梅原さんの本はあまり読んでないから、内容について論考をはさむことはできませんが、本の素晴らしい事は著者のもの考え方、それは著者の文化的背景、生まれや読んだ本、思考のベースや出会った人たちの総決算が内容に反映されることですね。世の中に絶対的真実などありようがなくひとりひとりの持っている物語が織り成し世界が回っているわけですから。
自分の持っている物語をさらに豊潤にするため、多くの良書に巡り合いたいものです。

投稿: アントニオ | 2006/09/26 22:03

コメントありがとうございます
<うるしさん>
僕は古代から人間は人知を超えるものを神と名づけたのではないかと思っています。梅原古代学は日本文化の基層に縄文の狩猟採集文化があって、その後列島に入ってきた弥生と混交したといっています。僕は梅原哲学自分にとってしっくり馴染むと思っています。
<しじみさん>
 おっしゃる通りですね。正しいか、間違っているかの判断は人間の判断に過ぎませんね。だから拠って立つ立場によって違いも出てくると思います。だからこそ人は他人の話を聞き、書を読みしていくのだと思います。
 僕が梅原猛の著作が好きなのは、自分の仮説から過去の資料を紡いでいくところです。

投稿: 懐中電灯 | 2006/09/26 10:11

私も梅原猛の著書をかなり読んだつもりです。
しかし、梅原さんのお考えの根底には過去の日本の歴史認識がきちんとあって訴えている事であって、何もヨーロッパとの比較論ではないはずです。そこが江上波夫さんとは違うところだと思います。
いずれにしても、梅原さんの著書はみなさんに一度は読んで頂きたい本が多いと思っています。
その本に対してどう感じるか、それにどう対応するかは読んだ本人の問題であって、本人が決める事だと思います。
ただ、梅原さんの訴えたい根底(日本人の原点)が本に表されているという事だけは確かだと思います。
歴史的事実関係については当然調べ尽くしている事でしょうけれど、その時代時代の権力を持つ立場の人、隷属していた立場の人で、みな歴史の見方が違ってきます。だから、それが正しいなどとは梅原さんも言っていないはずです。
「・・・という事があったので、それは・・・という事ではないか。」と言っているのですね。
現代の社会問題の根底にあるものが梅原さんの著書に表現されていると思います。

投稿: しじみ | 2006/09/26 09:01

色々な見方が出来るようになるために私も読んでみます。

投稿: 雑草 | 2006/09/26 08:49

懐中電灯 様
私のコメ作り社会論から宗教を論じると、「豊作でありますように」と祈ることが日本の宗教の根底にある、ということになります。ですから日本人の神への付き合い方は「ご利益」を求めるということになり、ご利益のある神ならどこでもいいということになります。羊を殺して食糧としたヨーロッパ人とは基本的に考えか違うと思います。梅原氏は日本とヨーロッパの歴史的背景の読み方を間違えているのです。

投稿: 漆山 治 | 2006/09/26 07:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/12020160

この記事へのトラックバック一覧です: 「神殺しの日本」梅原日本学入門:

« 薬物中毒、消費者金融そしてHIV | トップページ | 臓器移植の問題 »