« 地域活性化の難しさ(1) | トップページ | 映画「ALWAYS三丁目の夕日」を見て »

2006/09/15

地域活性化の難しさ(2)

 <紅葉を待つ緑のトンネル>
Pict00058月10日の日曜日足慣らしに地元栃木県の塩原温泉を歩いてきました。箒川の渓谷沿いに、モミジやカエデ、ブナの林を縫って、延べ13kmの遊歩道がしつらえてあります。吊橋や滝も多く、秋の紅葉と春の新緑の時期は人出も多くにぎわうところです。湯量も豊富で遊歩道沿いには5~6箇所に共同露天風呂があります。栃木県の温泉地としては鬼怒川、塩原、那須が知られていますが、鬼怒川は社員旅行の団体に依存してすっかり怠けていたため、著名な旅館の多くが倒産、閑古鳥が鳴いています。三十年栃木県に住んでいるのに、初めての塩原でしたが、旅館やホテルは鬼怒川と同じように活気がありません。近年温泉人気で、町中いたるところに日帰り温泉があり、入浴だけにわざわざ温泉地まで出かける必要がなくなってしまいました。

                                   <箒川の緑の渓谷>                           Pict00083_3
 季節外れの散策で遊歩道は歩く人も無く、静かな山道と吊橋、そして滝を楽しむことができました。時折遊歩道と温泉街が交差するのですが、端境期で暇な時期に合わせたのか、住民のための秋祭りを繰り上げて挙行してしていました。街の世話人も、参加している住民も気が乗っていない様子が見え見えです。出店に近寄ってもまったく売る気が漂っていませんでした。見ていると街の世話役とおぼしき風体のひとが、つかつかと遊歩道の脇に歩いて来て、我々夫婦に見られていることを知っていながら、悪びれることもなく、やおら前をはだけて立小便を始めてしまいます。傍らには観光客用のトイレがあり、道の脇には「ごみを捨てないで」と観光客向けの注意書きもあります。
 集客のためのお店であり、舞台のはずの遊歩道で、観光客の見ている前で、街で商いをしているひとの意識がこれでは、街が寂れるのも当然のことです。「破れ窓理論の経営学」の格好の教材です。
 国の補助金で立派な日帰り温泉施設を作ってありますが、想像するに入浴をさせると、旅館、ホテルと競合すると思ってのことでしょうか、足湯のみの施設です。温泉街もまだ余裕があるのか、日帰り入浴のサービスには消極的で、温泉街に入る前に一軒あるのみです。
 遊歩道の随所に共同の露天風呂があるのですが、川沿いの温泉街に近いものは、とても周囲からよく見えるので、女性が入るには無理があります。露天風呂のそばに休憩所があり、日曜日のこととて、地元のおじさんたちがチラチラ露天風呂をを盗み見みしながら、缶ビールで酒盛りをしています。若い二人連れが一組居心地悪そうに入浴していたのです。これではせっかくの観光の呼び物も台無しです。
 我々夫婦は結局湯量豊富な塩原の湯を味わうこともなく、帰宅途中、関東唯一の天然温泉と謳っている、隣町の百観音温泉(http://www.100kannon.com/senshitsu.htm)に立ち寄って汗を流して帰ってきました。
 明治の文豪田山花袋が日光、箱根、耶馬溪にも勝ると褒めたほどの自然を経営資源として持っているのに、自ら汚し、壊してしまっては、お客の足も遠のくばかりです。地域活性化とはお客様に沢山来てもらって、沢山お金を落としてもらうことなのです。
 街の有力者達は、お客のほうを向いて、どうしたらお客が来てくれるのか、どうしたらお金を落としてくれるのかを考えないで、お上の方を向いて、どうすれば地域活性化のタイトルで補助金、助成金を引き出すことができるか、といったことばかり考えているのではないでしょうか。どこへ行っても足湯、足湯と、指導したコンサルタント会社もどこか別の温泉地で使った案をそのまま当てはめたような取って付けた雰囲気です。
 過去の蓄積をかけ流しのお湯と一緒に流してしまわないうちに、地域の有力者の意識改革が必要です。

|

« 地域活性化の難しさ(1) | トップページ | 映画「ALWAYS三丁目の夕日」を見て »

コメント

コメントありがとうございます。
<三代目さん>
 小売、サービス業に従事する方の喫煙から、このブログに戻ってきましたが、小売、サービス業だけではなくすべてに通じるものだと思います。自分にとっての商品(売り物)は「何か」?お客様にとっての商品(買うもの)は、「何か」を、深く考え続けることではないでしょうか。
 自分は「何を」お金に代えているのだろうか?お客様はお金を払う代わりに「何を」持ち帰っているのだろうか?
 ここに色即是空、空即是色の世界があると思います。「空」は無ではなく、すべての始まり「眼に見えないもの」です。塩原温泉街の地元有力者の立小便、お店の店員のタバコの煙も臭いもすべて、「空」が眼に見える形をなしたものです。会社にとって、理念が「空」のはじまり、三代目さんがタバコを売るのをやめるという決断に至ったことはとても意義深いことです。これから益々お店が進化していくことでしょう。楽しみですね。

 

投稿: 懐中電灯 | 2006/11/25 11:15

 個々の意識改革が必要だと感じますね。地域活性化は皆、「誰かがやるだろう」くらいにしか思っていない場合が多いようですね。ただ悪戯に、救いの手を待っているだけで、自分から何かを変えようとは思っていない。残念です。
 私のところでは、個人商店なので、待っている場合ではありません。自らが自店を客観的に判断し、良い所、悪い所を判断しています。
 毎朝、店先を掃除するときに、自分の店を数分眺めています。見えてくるものが無い日もあるのですが、たまに「気付き」があります。その都度、改善策を女房殿と話し合っています。

投稿: 三代目 | 2006/11/25 07:34

コメントありがとうございます
<雲水さん>
社長シリーズは懐かしいですね。「社長」は当時の庶民の憧れの存在だったのでしょうね。今では一円で社長になれます。社長のインフレでしょうか。
<yumenosimaさん>
先日「三丁目の夕日」をみたばかり感想をブログにも近々書きたいと思っていた矢先です。当時シベリアから復員した父のところへ後妻として嫁いできました。久しぶりに僕に母親ができました。実家から持ってきた着物を持って家を出てしばらくして戻ると、僕に手にお金を持たせて、「お米を買っておいで」と布の袋を渡されました。路地を入った門がついた一軒の家を訪ね玄関先で闇米を買うのです。一升枡に摺りきり一杯、子供心に、その枡の真ん中が凹んでいるのを眺め、文句も言うことも出来ず、恨めしくおばさんの顔と見比べたことを思い出します。一年ほどで箪笥の中は空っぽになっていました。母親は僕に貧乏の意味を教えるために、いくつもの体験をさせてくれました。
路地裏の小さな家も、タバコ屋さんも、自動車整備業の家庭も、駄菓子屋も当時の僕にとってはすでに上流でした。高校生の時にアルバイトであの冷蔵庫の氷を運んだ側ですから。
 B/SとP/Lをよくよく見れば、商店街の多くの経営者の方々は、普通のサラリーマンで定年を迎える人々より、さらに格差を広げた上流にいるのではないでしょうか?格差は相対的なものです。我が家でもテレビ、冷蔵庫、洗濯機おまけに車の一台ぐらいは揃っています。

投稿: 懐中電灯 | 2006/09/19 10:11

この課題は重いですね。
町の商店として、地域の崩壊を目の辺りに見ながら、自問してきたことです。

確かに無自覚や努力不足は否めません。
でもね~、って言いたくなるのはなんでしょうか。

配達に行って将棋一盤やってきたり、通りがかりにチョット知り合いに寄ったり、「三丁目の夕日」の時代はのどかでしたが、それでも食べていけました。
あのタバコ屋のおばちゃんが懸命に商売していたとも思えませんしね(笑)。

現代は疲れますね、ふゥ~。

投稿: yumenosima | 2006/09/16 19:56

またもや素晴らしい写真ですね。2枚の写真を拡大したら、一挙に素晴らしい氣が飛んできました。1枚目は緑の美しさ、2枚目の写真は幻想的な雰囲気で屋久島を思わせます。

こう言う所はあまり人為的な施設はない方が良いですね。地元のさぼりのお陰で自然が保存されている気がします。

東京勤務時代、鬼怒川温泉に社員旅行に行きました。温泉に入り、酒飲んで、チークダンスをして・・・、セクハラという問題もないし、実に人間的な時代でした。効率経営のお陰で、今は社員旅行や運動会などはすっかり姿を消しています。効率化は非人間化を進める一面は否定できない気がします。

昨夜森繁久弥の社長シリーズをテレビでやっていました。50年程前の映画でしょうか、携帯もパソコンもない。時間の流れが実にゆったりとしている。フィクションではありますが、昔の人間性たっぷりの社会性を感じ何か故郷に帰った気がしました。

昔の事を言い出すのは年寄りの始まりですが、何時になっても良いものは良い。

投稿: 雲水 | 2006/09/16 11:16

ブログ読んでいて少し寂しい気持ちになりました。私達の地域も気を付けないといけません。

投稿: 雑草 | 2006/09/15 08:08

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/11862492

この記事へのトラックバック一覧です: 地域活性化の難しさ(2):

« 地域活性化の難しさ(1) | トップページ | 映画「ALWAYS三丁目の夕日」を見て »