« 南ア北岳から塩見岳を歩く(5)タカネグンナイフウロ | トップページ | 地域活性化の難しさ(1) »

2006/09/07

後藤田正純政務官辞任に拍手

貸金業規制法改正案が金融庁からでました。後藤田正純衆議院議員(金融担当政務官)がこの案に抗議して政務官を辞任しました。若い政治家の良心に拍手を送ります。
 なぜ金融庁や政治家は消費者金融を保護し、29.2%もの高金利を認めているのでしょうか。格差是正とか、再チャレンジとか言葉だけ羅列していますが、消費者金融の保護をまさかセーフティネットの一つだとでも思っているのでしょうか。

消費者金融は、麻薬密売と似たようなものです。麻薬という薬漬けにするか、消費漬けにするのかの違いであって、直接的か間接的かの違い、眼に見える形か、見えないかの違いがあるだけで、本人を社会的廃人にしてしまうことに変わりはありません。お金を貸さなければ、消費をすることはできないのですから、消費から隔離するためにはお金を持たせないことです。消費者金融を法律で保護することと、麻薬売買を認めることは結果においてあまり変わりはないのです。自己管理能力の弱い者を餌食にしている狼のようなものです。クリスマスキャロルを書いたチャールズ・ディケンズは10歳の頃に、父親が借金を返せなくなり債務者監獄に入れられたそうです。この債務者監獄のほうがまだ人道的といえるのではないでしょうか?自由を奪い消費できなくなりそれ以上借金は増えることはありません。
 「消費者金融を規制すると闇金融へ流れるひとが多くなる」という馬鹿な理屈をつける議員や評論家もいますが、闇金融なら借りるひとも激減しますし、闇金融も麻薬密売と同じ扱いの非合法になりますから、徹底して取り締まればいいのです。
 改正法案では貸付限度額の上限を年収の1/3にするといっていますが、仮に年収300万円のひとが100万円借りたら、29万2千円の金利を取られます。手元に残るのは70万8千円です。それを使ってしまったら、返済できるはずはありません。貸付額の上限をいくら下げても、多重債務をチェックすることも事実上できないのですから意味がありません。簡単なことは上限金利を一桁に落とせば多くの消費者金融は旨味がなくなって廃業するか、闇に潜る以外に商売を続けることはできなくなります。
 本当に生活苦のひとに生活資金としてお金を貸すなら、無利子の生活資金を用意してセーフティネットにすればいいのです。 
 これほど単純かつ明快なことが、頭脳明晰な官僚や政治家が理解できないはずはないのに、その規制ができないということは、自らを自制することができないひとを、餌食にする仕組みが公然と、合法化されていることを、庶民は自覚しなければなりません。ぼんやりしていると、債務者監獄の時代よりソフトな語り口で、しかも生活に不必要な多額のお金を貸し込まれて、その後の人生を破壊されてしまいます。
 携帯財布、スイカ、エディ、様々なクレジットカードと名前は格好いいのですが、消費を自制できない弱いひとを消費に誘い込み餌食にする、ハイテクネットワークが出来つつあって、地獄への入り口が、随所に獲物を獲る落とし穴ように、巧妙に仕掛けられつつあることを知らなければなりません。「借りすぎに注意しましょう」「初回金利ただ」といったコマーシャルを聞いたら、「キリング・ユー・ソフトリー」と耳元で囁いていることを忘れないでください。すべて「自己の責任」の一言で済まされてしまうことなのです。
 我々老中の若い頃は、給料日の前にどうしてもお金がいるときは、会社から前借りすることができましたし、上司に「前借」を申し出ると、「その前に俺が」といって貸してくれたりしました。給料日の前、生活費が乏しくなると、上司の家に転がり込んで、一汁一菜に預り、お酒を飲ませてもらい、その上翌朝の朝食のおにぎりまでもらって帰ったものでした。上司だって団地住まい、けっして豊かだったわけではありません。家族や親戚だけでなく周囲に数々のセーフティネットがありました。今よりずっと貧しかったはずの「ALWAYS三丁目の夕日」の暖かい日差しの中に、真の豊かさがあったように思えます。
 
 

|

« 南ア北岳から塩見岳を歩く(5)タカネグンナイフウロ | トップページ | 地域活性化の難しさ(1) »

コメント

コメントありがとうございます
<アントニオさんへ>
推理小説の謎解きと同じですね。子供に株式投資を教えるのは、誰が仕掛けているか、誰が得をするのかを見極めればはっきりします。証券会社が鴨を養殖しているのです。学校の先生もお金のことをさっぱり知らないので、聞きかじりの知識ですっかり洗脳されて、証券会社のお先棒を担いでしまっています。本来教えるべきは、お金の裏の部分ですね。お金にまつわる悲劇と喜劇を教える必要があります。
 アントニオさんは商人だからとおっしゃいますが、人間社会がお金がなければ成り立たない時代ですから、万人が子供のうちから、お金というじゃじゃ馬を乗りこなす術を学ぶ必要があります。親が知らないのですから、これがまた負の連鎖を生んでいます。
<はしやんさんへ>
 政治家もお金をくれるお客の方を向いてしまっていますね。庶民は己の汗と知恵の結晶で、己を食い物のする官僚や政治家を養っているのですから皮肉なものです。投票する庶民がもっと利口にならないといけないのですが、それも無理とすると、やはり、「民主主義は最悪のシステムだが、それに勝るものがない」が真実のようですね。

投稿: 懐中電灯 | 2006/09/12 09:04

全く同感です。議論をしている人達の目線や想いはどこを向いて、何を目指しているのか疑問でなりません。
私も後藤田さんが政務官辞任の新聞記事を読んだときに多くの人拍手したのでは思いました。他の議員や役人はどこを向いて仕事しているのかと考えてしまいました。多くの国民を向くべきが、一握りの企業を向いて媚ているように思えて仕方ありません。

投稿: はしやん | 2006/09/08 13:00

子供への教育が大事ですね。
お金は借りるものでなく、汗水 たらして 稼いだものだけが、輝くお金となるのだとことを教えなければならないと思います。
子供に株式投資を教えるなんて、ばかげた話が以前新聞に載っていましたが、今こそ、日本におけるフィンナンシャル リテラシーの確立です。
お金には綺麗なものときたないものがある。輝くお金とは何か議論したら良いと思います。

金勘定は商人だけで良いかもしれないですね。(僕は商人ですが)

投稿: アントニオ | 2006/09/07 23:25

コメントありがとうございます
<たかやんさんへ>
是非子供のうちに、消費は自分で稼いだお金でするものだということを教えてあげてください。稼ぐとは、自分の自由と引き換えですから、クレジットは自分の未来の自由(命)を担保にしていることをしっかり認識して欲しいのです。日本でもたった60年前まで貧しい家では女の子を売買していたのです。先日DVDで映画サユリを見ました。周囲の子供を教育で一人でも守ってあげてください。教育で一番大切なことは、己の命の守り方を教えることだと思っています。
<yumenosimaさん>
 お金は便利なものですが、反面「思いやり」「助け合い」を消し去る毒を持っていますね。その毒の面が強く出ているのが今の日本なのでしょうね。「毒消しいらんかね」富山の薬売りはどこへいったのでしょうね。
<雲水さんへ>
 せめて我々老中で、蟷螂の斧でもいいから、叫び続けましょう。
<雑草さんへ>
 自分の身、家族の身を自分達の知恵で守る以外にないと思います。新しいものへの好奇心は大事なことですが、「警戒心無き好奇心は身の破滅」です。

 

投稿: 懐中電灯 | 2006/09/07 20:30

危険な世の中ですね。私は、随分あさはかだったみたいです。現在自分がそのような環境にいないから真剣に考えたことがありませんでした。
考えたことは、はたして私はセーフティネットになれるのかということでした。

投稿: 雑草 | 2006/09/07 18:04

明快に本質を喝破して頂き、気持ちがすっとしています。見識、良識と言うよりは常識を疑いたくなる経過に落胆さえ感じます。
それだけに後藤田さんの行動は拍手喝采です。

投稿: 雲水 | 2006/09/07 10:23

このニュースを聞いて思わず喝采しました。後藤田さんはさすが親の子ですね。
サラ金がこの国のテレビを占領し、気高い文化や伝統、助け合い、思いやりの気風を壊すことに没頭しているように見えてなりません。
他の政治家の態度をお聞きしたいですね。

投稿: yumenosima | 2006/09/07 08:04

僕も新聞を読んで、やるなあ・・・と思いました。なるほど、麻薬と同じですね。早速塾で子供たちに話ます。昔のセーフティーネットの話、その通りでした。色々なセーフティーネットのお世話になり、そして自分もたくさんの教え子達のセーフティーネットだったなあ・・・そう思います。学校でもそういうことを教えないといけませんね。いい話をありがとうございました。たかやん

投稿: たかやん | 2006/09/07 07:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/11784570

この記事へのトラックバック一覧です: 後藤田正純政務官辞任に拍手:

« 南ア北岳から塩見岳を歩く(5)タカネグンナイフウロ | トップページ | 地域活性化の難しさ(1) »