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2006/10/17

北ア常念岳から蝶岳を歩く(2)常念小屋顧客満足

    <常念小屋の顧客満足(CS)>
20061008pict00361 近年山小屋はトイレをバイオ処理したり、生ビールを出したり、食事を改善したりと宿泊スペース以外は、快適な宿泊を楽しめるようになりました。宿泊スペースは、安全のため扉をノックすれば誰でも予約なしで宿泊できるので、繁忙期は一畳に三人という状況も我慢しなければなりません。登山者の安全を確保することが山小屋の使命であり商品だからです。山小屋は登山者(顧客)にとって最悪の状況が商品という宿命を負っています。
 顧客満足(CS)経営が喧伝されお客様第一主義を標榜する会社が多くなっています。そのせいか「お客様に愛される店作り」とか「お客様に信頼される会社になろう」といったキャッチフレーズも目立ちます。
 

 日頃研修や講演でも長年
「お客様に愛されるお店」から「お客様を愛するお店」に、
「お客様に信頼される会社」から「お客様を信頼する会社」
変えましょうと申し上げてきました。このことがなかなか理解してもらえないのです。自己中心的に「・・・・・してもらう」ことに皆さん慣れてしまっています。
 近年老中の登山が盛んです。昔の登山靴を引っ張り出して履いて登ってきたり、軽装の運動靴を履いてきたり足元の安全がおぼつかない登山者も多くなっています。その登山靴の靴底が剥がれてしまって、紐やタオルで縛ってよろけながら下山する登山者を見かけることがあります。当然「お前の事前準備が悪い!」「老中の無謀登山だ!」と片付けてしまってもいいのですが、辛い、苦しい、嫌な体験を持って下山したら二度と登りたくないと思う人も多いのです。
 常念小屋では写真のように、靴の販売コーナーを作って、さりげなく「一流品を」「サイズをそろえて」「格安で」と訴えています。その上不慮の出来事で現金を持っていない人のために「お客様を信頼して代金は後払いでOKです」とポスターに書いているのです。
 山小屋の談話室で一人で生ビールを飲みながら文庫本を読んでいると、周囲で「生ビールが高い」「宿泊費が高い」「すし詰めで嫌だ」という声が聞こえてきます。山小屋は”登山の安全を確保する”ことが商品で、登山者は眼に見えない安全を買っていることを忘れてしまうようです。
 常念小屋は宿泊者の多くは一見さんであるにもかかわらず、現実に”お客様を信頼する・・・・”をさりげなく具体的な商品として提供しています。この靴を在庫するコストも生ビールの収益の一部が回っていると考えたら、不満も収まるのではないかと思うのです。もっとも短気な僕は「そんなに不満なら登ってくるな!」と怒鳴りたくなることもしばしばです。きっと下界でもいつも不満で鼻を鳴らしているひとなのでしょう。「不幸せを数えたら両手に余る」「幸せを数えたら片手に足りない」はせめて演歌の、歌詞の中の出来事にしておきたいものです。若い頃から幸せを先に数える癖をつけたいものです。

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コメント

しているもらうことに慣れすぎている、とても痛い言葉です。先日、伊豆へ2泊の旅行へ行ってきました。
僕はお客、お客様なんだと自己主張しながら旅館を練り歩き、すこしでも不満足な点があると、こころ休まることなくあげつらう。
不満足なところばっかりがクローズアップされる。
顧客満足、僕満足?こそ至上の価値なんて思っている僕が恥ずかしかった。
究極のCSとは母親の胎内。
僕はこのCSは、もちろん会社としては常に考えなければなりませんが、顧客の立場としてもこの顧客満足を考えないといけないなあと思っています。

人間の欲は際限ありません、さらにもっと、もっとベターなサービスを追い求めます。
CSが、たんなる自我の増長を促すだけなら、人の幸せとCSは相反するものですね。

投稿: アントニオ | 2006/10/17 20:29

目の前の値段で判断してはいけないのですね。色々な背景を知らないと自分がどんなに幸せかが解らないのですね。それが「若い時には苦労をしろ」ということなのでしょうね。苦労をした人は、幸せを数えるのが上手な気がします。

投稿: 雑草 | 2006/10/17 09:57

便利な物、便利なことには段々と慣らされていくのでしょうね、
九州の山の経験がほとんどの私からすれば、山に登って屋根の下で
寝ることが出来、食事まで食べさせてもらえれば天国のように感じると思います。
以前、鳥取の大山に登ったとき、頂上の山小屋で冷えてなかったけれどビールを飲めた事は私にとっては奇跡のようなことでした。
もう一つ以前名古屋の友人と屋久島に登ったとき「どこでビールが飲めるの?」と言う質問には苦笑したのを今でも思い出します。

投稿: 坂道登 | 2006/10/17 09:37

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