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2006/11/19

乱読のすすめ「悪夢のサイクル」

書名 悪夢のサイクル  
著者 内橋克人 
出版社 文藝春秋
  11/16日 ミルトン・フリードマンが94歳で亡くなりました。ケインズ主義の経済政策は大きな政府を指向し、税金のばら撒きになって、財政が膨張し、インフレを招いてしまいました。そこにM・フリードマンが登場したのです。小さな政府を指向して、経済政策は通貨供給量の調節のみで済ませ、あらゆる規制を撤廃して、すべてを市場(神の手)に委ねてしまおうというのです。通称マネタリストといわれる経済学者の政策がレーガン、サッチャー、ブッシュ、中曽根、小泉(竹中)そして安倍政権へと引き継がれてきています。

この政策が市場原理主義(ネオリベラリズム)です。ベルリンの壁を突き崩し、中国を開放し、インドを目覚めさせ、世界を覆っていっています。
 著者はこの本で市場原理主義を「悪夢のサイクル」と命名して、日本及び世界各国の経済がいかに破壊されてきたか、格差の拡大で庶民が呻吟している原因、ベルリンの壁が取り払われたのに、以前にもまして世界に戦争が起こるのはなぜかを解き明かしています。市場原理主義者の教祖としてのM・フリードマンの学説の背景も語っています。
 この「悪夢のサイクル」のスタートは”通貨(マネー、紙切れ)”です。前回も書きましたが、そのスタートは「はじめに贈与ありき」「はじめに不等価交換ありき」です。
 この数年で起こった、原油の高騰、金の高騰も、このマネーが先導して原油価格を引き上げて、それを我々庶民が様々な商品の値上げによって吸い上げられていくのです。
 個人がこの悪魔のサイクルの惨禍を軽減するには、まずマネー(ドル、円、ユーロ、元)がどこへ向かっていくのかを注意深くウォッチングして備えていくことではないでしょうか。
 

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コメント

コメントありがとうございます
<漆山さん>
ミクロ経済の視点では小売業乱立が原因というのはまったく同感です。30年近く「棲み分け進化論を紹介して、ダイエーの競争進化論ではいずれ駄目になると申し上げてきました。小売業の乱立も強者の論理が招いた結果です。そのとばっちりを受けているのが商店街(本人の問題もありますが)と社員です。
 市場原理主義(ネオリベラリズム)では駄目なのは、マネーの暴力を止めることができないからです。下流に落ちたら孫子の代まで上がれないのです。
 内橋克人氏はこの本の後半でも「共生の大地」(岩波新書)でも、どうすべきかの提言をしています。

投稿: 懐中電灯 | 2006/11/20 21:36

内橋克人氏のテレビなどでの出演には出来るだけ聞くようにしています。最近の彼の論説は負け犬っぽくなってきているというのが私の印象です。確かにフリードマンの市場経済主義は格差の助長であったことは現時点で否定できません。何処に規制の線を張るかがこれからの課題だと思っています。私のマーケティングの立場からは、小売市場が乱立しているために過激な競争に陥っていることを感じています。通販など小売店を通さない消費もどう組み込んでいくかマーケティングは整理がついていません。内橋氏は問題提起をしますが提言がないのが不満です。あまりにも難しい問題を提起しているからかもしれませんが。

投稿: 漆山 治 | 2006/11/20 10:19

コメントありがとうございます
<雑草さん><三代目さん>
ぜひ読んでみてください。経済の本としては、過去の出来事の中に流れているサイクルを整理して、見せてくれるので、読み易いと思います。
 真面目に、努力して働くことは当たり前ですが、それだけでは、個人、家族、会社を守れない時代です。足元の地面の下が空洞になっているかもしれないのです。
 三代目さん、時間がゆるすなら、僕の研修に来てみませんか?雑草さん、アントニオさんには受講してもらっています。
<アントニオさん>
>今の時代、どのような思想、哲学が必要とされるのでしょうか 
 「悪魔のサイクル」にも書かれていますが、ひとつは”共生”のネットワークでしょう。個人、家族といった血縁、地縁、血縁、IT縁と縁のある方々との繋がりを太くしていくことだと思います。
 もうひとつは、マネーの目先の流れに便乗して短期的に儲けようと考えないで、大きな長期的な波を掴んでおくことではないでしょうか
<追伸> 
はじめに原油、金に流れ込んだマネーは、既に穀物へと移動しはじめているようです。今週の週刊エコノミストが特集しています。
 

投稿: 懐中電灯 | 2006/11/20 09:43

学の無い私には何のことやら?なんて言ってられませんね。
とにかく読んでみます。

投稿: 三代目 | 2006/11/19 10:36

僕は、神の見えざる手はある一定の歯止め、規制の中で存在すると考えます。規制イコール悪の権化のように、規制廃止、撤廃と叫ばれました。しかし、その後の市場は、格差社会、ワーキングプアなどいう言葉を生んでいます。
マスコミはいざなぎ景気を超えたと言いますが、実感なき景気の現況。働けど、働けど一向に経済的に楽にならない、現状。


ある識者が、自由とはキャンパスの額縁であり、額縁のない自由はないと。言い得て妙です。
最低限の額縁をとってしまった状態が現在の市場ではないでしょうか?

まっしろなキャンパス地には、マネーなる悪魔が覆ってしまいました。無尽蔵なマネーを手に入れた悪魔は、原油価格(WTI)、先物、株式市場を、自由に動かし、されにマネーを増幅しているような気がしてなりません。
株式市場なんて、その最たるもの。自由に上げ下げするその悪魔に対して個人投資家は、餌食になるだけです。個人投資家が利益を得るのは1割も満たないという現実がそれを物語っています。

マネーが神、いや悪魔となってしまった今の時代、どのような思想、哲学が必要とされるのでしょうか?
その悪魔が僕らのこころを侵食する前に、防衛としての思想を得なければならない時期だと考えています。

投稿: アントニオ | 2006/11/19 09:25

読んでみます。

投稿: 雑草 | 2006/11/19 07:49

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