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2006/12/21

映画「硫黄島からの手紙」を観て(1)なぜ守るのか

 映画館を出て家内と顔を見合わせてしばし、声がでませんでした。上映開始から数日を経ずして観たのに、しばしブログに書くことができませんでした。なにを書いたらよいのか。
 本土から1,200kmの太平洋上の小島硫黄島に、国家から生きで島を出るでることを許されず、置き去りにされ、本土防衛の生贄に供された21,000名の将兵達が、アメリカ兵の火炎放射器に焼き殺され、機関銃の掃射に無残にバタバタと倒れていく将兵の姿がまぶたに焼き付いています。 
  今の日本の平和があるのは、あの21,000名の生贄の賜物とただただ感謝あるのみです。21,000名の犠牲を犬死にしないためにも、二度と戦争を起こしてはいけないと念ずるばかりです。

 アメリカ軍が7万人の将兵と大量の艦船を投入して、五日で陥落させるといった硫黄島を21,000名の命を賭して、36日間持ちこたえた司令官栗林忠道中将の想いはどこにあったのだろうか。愛国心か、家族への愛か、個人の名誉か?
 アメリカ軍が浜を埋め尽くす中、栗林忠道は司令官として将兵に告げる。
「自決することは許さない。最後の最後まで生き残って、アメリカ軍を撃退しろ、一日でも長く、アメリカ軍をこの島に足止めできれば、本土に残した家族を一日守ることができる。この島を守る一日に意味がある」と。
 そして三十六日間守りぬいた最後の日、残ったわずかな兵とともに死の突撃をします。曰く、
「たとえ我々がここで死のうと後の日本人が、この島を守った我々に対して頭を下げ黙祷を捧げてくれる日が必ずやってくる。余は常に諸氏の先頭にあり」と。
 国家のため!愛国心!など一言も絶叫したりしませんでした。”本土に残る愛する家族のため”です。一方国家を守るはずの本土に居残る大本営は終始、国民に対しても、前線の将兵に対しても、兵力も戦果も嘘をついていました。もちろん戦争ですから戦略として明かせないのは当然ですが、現実はその嘘が、為政者、己たちの現状認識を麻痺させていたのです。
 今教育基本法が改正され、今の日本人は愛国心がないと、愛国心を強要する法律まで作ってしまいました。近年の日本では国家は平時でさえ、嘘を嘘で固めて平然としています。愛国心は結果、発露が大事だと思います。
 愛国心の種子は家族です。国家が個人そして家族を守る姿勢を背中で見せてくれたとき、その発露として双葉が生じるのであり、個人を守ってくれない国から愛を強要されると悲しくなります。(続く)
 
 

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コメント

文藝春秋にて、栗林中将の士魂という特集が組まれています。
栗林中将を演じる渡辺謙と硫黄島をテーマにした作品を持つ女性ノンフィクション作家との対談です。
僕は映画を見るまではこの対談を読むのは止めようと思っていました。
さきほど、見てきました。やっとゆず湯につかりながら読むことができました。
特集では、栗林中将の家族へ送った何通もの手紙の話やけして玉砕をゆるさなかったことなど、栗林中将を褒めたてていることが主でした。

僕はそれはそれでりっぱなのでしょうが、彼の下で名も無き一般の兵士へ視点を合わせてしまいます。声無き兵士、映画ではパン屋の旦那が象徴的に描かれていますが、彼らは何のために戦い、そして死んでいったのでしょうか。おそらく戦わず、赤痢や飢えで無くなった人もたくさんいたはずです。見たことも触れた事も無い、アメリカと戦いながら、実際彼らは何と戦っていたのかなと思いました。

僕の祖父はインパール作戦に参加し、生死を彷徨い、ビルマにあった捕虜所に収容され一年後に祖国へ戻りました。
祖父は健在ですが、祖父の会話からお国のために戦ったという話など一度も聞いたことがありません。来年の新年会で何のために戦ったのかと尋ねてみようと思っています。

投稿: アントニオ | 2006/12/22 22:54

武士の一分と同じくらい見たい映画です。
でも見に行けない、映画どころではない、
第一線の戦いは続いています。
一番大切な人たちを守るための・・・。

投稿: yumenosima | 2006/12/22 11:34

コメントありがとうございます
<雑草さん>
結婚して、家庭を築くということ、会社を経営して社員を雇用することは、守るもの、愛するものを作る行為でもあるんです。
 守るものを作るために結婚し家庭をつくることでもあるんです。平和がいいに決まっていますが、相手もあること、どうしても戦わなければならないときもあります。それは「大切なものを守る」ためです。
 今日テレビで「たそがれ青兵衛」が放映されますが、これが藤沢周平の小説を山本洋次監督が映画にした三部作の第一作です。これもとてもいい作品です。

投稿: 懐中電灯 | 2006/12/22 09:22

国家や名誉ではなく家族を守るために将兵の人達は戦ったのですね。
私は大切な物が見えていなかったのに気付きました。

投稿: 雑草 | 2006/12/22 08:03

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