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2007/05/29

岩井克人著「貨幣論」を読む(4)第二の敗戦記念日

<第二の敗戦記念日>
1985年9月22日ニューヨークプラザホテルで開かれた、米、英、独、仏、日の蔵相会議G5で、新たな米ドル救済策として為替の米ドル安誘導を合意しました。いわゆるプラザ合意です。米ドル・円レートはその年の内に240円から200円台へ、二年の後には、160円台へと円は高騰していきました。第二の敗戦記念日は9月22日になりました。
 輸出立国という過去の成功の呪縛から抜けることができない政府は、ここで内需拡大を旗印に、公共工事を中心に財政出動し、日銀は低金利政策と、資金供給を緩めバブルへの道を開いたのです。

 日本人は円高は輸出競争力を失うことにしか感心を示しませんが、輸出企業が稼いだ米ドルは、円に交換され、国が米国債を中心に保有し続けるのですから、円高は国が保有する資産が目減りすることになるのです。バブル崩壊以後失われた十五年といわれる間も、円高になる度に、米ドルを買い込んで円安にして、輸出企業を支援し、米ドル資産を買い込んで、保有するのですから円高に振れる度に、日本国民の資産が目減りしていくことになります。
   バブルの崩壊それからの失われた15年、円高円安を繰り返しながら、日本国民の資産はアメリカへ吸い上げられていったのです。気がつけば銀行、生保、損保、証券と金融セクターの多くがアメリカ資本の傘下に収まってしまいました。米ドル(純粋紙切れ)で買われてしまったのです。
 貨幣論に明らかなように、1973年のニクソンショックで貨幣は、貨幣の実体価値を捨てることで、貨幣としてもっとも純粋な「人々が貨幣として使うから貨幣である」という信用機能に収斂されていきました。その結果としてアメリカは世界の人々が米ドルを貨幣として認め、受け取る間中、輪転機を回して双子の赤字を続け、世界中に米ドルを散布し続けることができます。金利を上げドル高にして、散布した米ドルをアメリカに還流させ、その資金でアジア、日本の企業を買収していきます。アメリカは純粋紙切れで、企業を買っていることになります。
<つづく>
  
 
  

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コメント

こんにちは懐中電灯です
<会長さん>
いつの時代も、目に見えない大きな流れが伏流として流れています。それを知って行動していないと、突然伏流が表流となったとき足元からさらわれてしまいます。地方の商店街などもはもう終わりましたが、これからは中小零細製造業も己の存在理由を磨いておかないと同じ憂き目にあうでしょう。
 トヨタ、キャノンを代表とする輸出企業企業は、今までのような日本の企業と捉えていては、現実を見失ってしまいます。すでに日本の会社ではなく、ワールドワイドな国境を意識しない経営をはじめています。 日本国内の工場で、日本の若者も日系ブラジル人の時給とほとんど差のない時給で働くようになっています。派遣労働、請負制度も、コストを国境を意識しないで考えたら、当然のことになります。ワールドワイドに比較されているので、やむをえないことでもあります。
 中国13億人、インド10億人、EU8億人、ベトナム、タイ等々を「土地に境なし、人間(じんかん)に差別なし」としてあらゆる境界が溶けていくのです。
 だからこそ、政府はいま格差を縮める施策を強化しなければいけないのです。残念ながら格差を広げる方向に施策を打っています。選挙民もその政府をしっかり支持しているということも忘れてはならないことです。これから農家が地方商店街と同じ憂き目に遭うことになるでしょう。
 自立化塾でお話しましたね。
「皮袋に水を詰めて背負い」
「スニーカーを履く」ことを精一杯考えながら行動してください。

投稿: 懐中電灯→会長さん | 2007/06/01 21:22

知らない事ばかりでおどろかされました、
裏ではそのような事が起こっていたんですね。
バブルが崩壊するまでの過程が詳しくないので為になる内用です!

投稿: 会長 | 2007/05/30 18:44

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