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2007/08/28

2007年参議院選の結果が示すもの

2007年7月26日の参議院選挙から約一ヶ月が経ちました。予想はしていたものの、我々選挙民も、自民党の歴史的大敗というを現実をいまだ十分受け止め切れないようです。マスコミも、自民党の今後、責任政党としての民主党の今後の振る舞い、など様々な解釈を加え報道しています。
 僕もこの参議院選の結果は何を意味しているのだろうと、しばし考えていました。「改革に対する地方の悲鳴」という意見が多いようです。たしかに悲鳴ですが、冷ややかに言ってしまいますが、今回の選挙結果が意味するものは、地方の崩壊の”証し”であって”兆し”ではない、すでに崩壊してしまったのです。まだまだ修正可能と思って、反与党に投票した方々の多くは、過去の様々なストックを食い潰していることで、緩和されている崩壊の過程に気付いていないか、気付きたくないのではないでしょうか。

1980年代までの日本経済の成長は、下記の四つの二重構造(中央と地方)がうまく補完関係で成し遂げたものです。その二重構造(中央と地方)が1989年のベルリンの壁崩壊に象徴される、グローバル(フラット)化の進展によって崩壊してしまったのです。
   イ.大都市圏と地方圏
   ロ.大企業と中小企業
   ハ.輸出企業と内需企業
   ニ.正社員とパートタイマー
 昭和三十年代は、好景気に農村から都会に出てきた働き手は、不景気になって失業すると、農村に一時避難して、農村が失業のバッファーになっていました。昭和四十年代以降、その農村の働き手のすべてを大都市圏に吸収しつつ、公共工事、地方交付税、高い農産物で所得移転を続け、地方圏を維持してきましたが、次第に空洞化が進んでいたのです。
 大企業は、下請け中小企業の技術、低賃金に支えられ成長してきましたが、国内経済の成熟、フラット化による新興国家の台頭によって、その中小企業の強みの低賃金は、その力を失ってしまっています。技術力のある中小企業は健在ですが、多くの下請け中小企業は崩壊の過程にいるのです。
 輸出企業は地方に工場を作り雇用(正社員)を創出し、製品(日本人が作った)を海外に販売して外貨を稼ぎ、国内に持ち込んでいました。今は輸出企業ではなく、海外展開企業になっています。国内の工場(地方圏)を閉鎖し、海外に工場を作って、製品を国内に持ち込んで販売したり、海外で販売しますから、その企業は成長しても国内にお金を落としません。当然利潤の再投資も海外になります。
 工場の一部を国内回帰させている企業でも、創出する雇用は非正規雇用、派遣、請負で、低賃金の雇用しか創出していません。
 輸出企業が隆盛した時代は、地方経済もそのおこぼれにあずかり、地方の商店も元気でしたが、中小商店が真っ先に大手流通の大型店舗に客を奪われ、壊滅してしまいました。公共工事で潤ってきた地方の土建業も公共工事の激減、談合の廃止で崩壊しつつあります。農家も農業政策の微温湯に浸かって、労働力だけでなく、自立力さえ失ってしまいすでに崩壊しています。
 正社員中心の雇用で、パート、アルバイトはその補完であったし。正社員も企業内労働組合の慣行に守られていると思っていましたが、すっかり日本的労働慣行も壊れてしまって、終身雇用が守られることはなくなっています。すでに少数の正社員と多派遣労働、請負契約の組み合わせが当たり前になっています。
 戦後日本経済を発展させてきた、中央と地方という二重構造の、地方が崩壊した、”証し”が今回の参議院選挙結果です。地方の一票が、反自民へと一斉に流れましたが、すでに遅きに失しています。
 国民が拠出しているはずの、国民皆保険、介護保険、国民年金、厚生年金といった国民の生命線を担保するインフラさえも崩壊しつつあります。過去のストックを食いつぶすのではなく、未来のために使う勇気が必要です。変化の流れに逆らわず行動することです。民主、自民といった政党の問題ではなく、自分自身の問題として、国家を当てにしない、自立(自律)のための一歩を踏み出すことが、崩壊した様々なものを再構築する唯一の道だと思っています。もし今回の一票がその第一歩であるとすれば、「遅きに失する」を訂正して、未来を変える第一歩になることでしょう。
 
 

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コメント

コメントありがとうございます
<yumenosimaさん>
自助があってはじめて互助が成り立ちますね。まず自助です。老中になると、夫婦の間でも自助がないと家庭内介護の問題も難しくなります。
 個人の自助、互助とは別次元のところで、政府は敗者救済のセーフティネットを用意する必要があります。それが政府の役割ですからね。
 しかし今の日本の政、官、財の強固な結びつきを壊さない限りむりでしょう。すでに国と地方公共団体の借金は1,000兆円になろうとしています。このカネもどこかに流れていったわけですから。
 このままでは、医療、福祉、年金などセーフティネットを削減し、消費税増税へと突き進んでいくことでしょう。

投稿: 懐中電灯→yumenosimaさん | 2007/08/29 19:54

国家と言う収奪組織から身を守るためには
一人ひとりが自立して、
依存しない生き方を見つけなかればならないのですね。

自立は依存から抜け出ること、
自立は他立と一対のものですから、
依存を捨てたとことに
お互いを認め合う真の共存があると信じます。

国はいま、さまざまな増税の上に
さらに消費税の増税をたくらんでいます。
今捨てなければ国と言う組織に
未来を全部食い尽くされてしまいます。

国を愛するこころは人々の暮らしを思い
未来へつなげる思いやりです。
これが大義です。

大義のためには
僅かな依存を捨てなければなりません。
捨てることを愛といいます。
家族も隣人も町も国も、
そして地球全体が大切だから
捨てることからはじめていきたいと
思っています。
この国の未来のために。

投稿: yumenosima | 2007/08/29 05:33

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