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2007/10/21

複式簿記に秘められた色即是空(4)試算表からB/S,P/Lへ

<図3.試算表からB/S,P/Lへ>
Photo 4.試算表からB/S,P/Lへ
 「図2-2.試算表」を左右に切ってみると、600百万円で一致しています。上下に切った上半分をみると、Ⅱ.次元の資本380百万円とⅠ.次元の資産300百万円とは80百万円分一致していません。Ⅱ.次元の資産は、おカネが変態している状態です。卵あり、芋虫あり、蛹あり、蝶がいるという状態を表しています。元々(始まりor期首)のおカネ300百万円は変態してしまっていますが、今現在(終わりor期末)の総額は380百万円です。左右を一致させるために、差額の80百万円に「利潤」という言葉を与えてⅡ.次元に加えることにします。80百万円の資本(眼には見えない)が増えたことになります。

この上半分「Ⅱ.次元とⅠ.次元」を表にまとめたものが貸借対照表(B/S)です。左に資産、右に資本と利潤(株主資本に還元される)を記したものです。

さてⅠ.次元に80却万円を加えてしまうと、右と左が合わなくなってしまいます。複式簿記の原則に外れてしまいますから、Ⅲ.次元にも「利潤」という言葉を与えて80百万円を加えると、複式簿記の原則が守られたことになります。
 上下に切った下半分を見てください。Ⅲ.次元に80百万円を加えたので、Ⅳ.次元と同じ300百万円になります。左右の300百万円は、元々(始まりor期首)から今現在(終わりor期末)までの間に、それぞれの次元に発生した総額です。この下半分が損益計算書(P/L)です。「図3.試算表からB/S、P/Lへ」のようになります。

                             <図4.資金の循環と試算表>
Photo_2

「図4.資金の循環と試算表」を見ると①資本→資産、②資産→費用、③費用→収益、④収益→資本と四つの矢印が循環しています。この循環がキャッシュフローです。1990年代、バブル経営に懲りた日本の会社が「羹に懲りて膾を吹く」の喩えのように、口々に、キャッシュフロー経営を唱えたものです。キャッシュフロー経営は、この四つの循環を円滑にしようというものです。実はこの四つは、先の会社の意思決定として大別した三つをおカネの面からみたものです。①は財務活動の流れ、②が設備投資の流れ、③④が事業活動の流れです。会社は意思決定にともなって、常に止まることなくこのサイクルが回っています。キャッシュフロー経営とは、資金の循環を滞ることなく、円滑に回しながら経営していくことです。

バブル期の経営の仕組みをこの「図3.試算表からの試算表上であらわすと以下のようになります。会社というものは、元来この資金の循環を通して、利潤を生み出していくもののはずです。会計(複式簿記)的には切り離せないはずの上半分(貸借対照表)と下半分(損益計算書)、それを経営者は頭の中で切り離してしまったのです。

そして汗をかかず、上半分で利潤を出そうと考えました。戦後、日本が産業社会の仕組みにピッタリフィットして、世界第二の経済大国になりました。それは当然のことですが、日本の会社の大発展でもあり、日本人も一億総中流とおだてられる程度は、個人財産を増やすことができた時代でした。
 その過程でⅡ.次元の資産の土地、建物などには膨大な含み益(時価と簿価の差)が隠されていたのです。国内に成長余力の無くなった日本の会社はその含み益を有効活用しようと考えたのです。土地建物を担保にして、おカネを借りました。Ⅱ.次元にはおカネが増えますが、同時にⅠ.次元にその源泉として、借入金が膨らむことになります。Ⅱ.次元とⅠ.次元が同額増えたことになります。

まず、第一段階で日本中の含み益を抱えた会社が、この方式でⅡ.次元におカネを積み上げた姿を想像してください。後ほど詳しく書くことになりますが、Ⅰ.次元の借入金の先は金融機関さらにその先は日銀へとつながっていたのです。おカネは日銀が影で、輪転機を回して刷っていたのです。

 さて第二段階でA社が保有する土地建物(時価100百万円簿価30百万円)を売却すると、Ⅱ.次元では30百万円の土地建物が、100百万円のおカネに変態ます。そうすると、差額の70百万円はⅠ.次元に利潤として表示されます。資金の循環から見れば、本来Ⅲ.次元を通して生み出すはずの利潤が、直接Ⅱ.次元の中から生まれてしまうことになります。A社から土地建物(100百万円)を購入したB社では、Ⅱ.次元でおカネが100百万円減って、土地建物100百万円増えたことになります。

実態はA社からB社へ土地建物の所有が会計帳簿の上で移転しただけでなのに、A社では70百万円の利潤が生まれたことになります。

さらにこんな手法も使われました。利潤が増えて株価が上がったところで、時価発行増資、公募増資で、Ⅰ.次元に株主資本を増やすことで、同額がⅡ.次元におカネが増えることになります。こうやって増やしたおカネを土地建物に変え、含み益が出来たら売却して利潤を作り出すのです。この増資のおカネもたどっていくと、日銀が輪転機の回転速度を上げて刷りまくったものです。

これを日本中で、会社、個人問わず繰り返して、日本中の含み益をお互いに、左のポケットから右のポケットへと移していったのが、バブル景気の実態です。花見酒経済といわれた所以です。バブルとはババ抜きですから、最後にババ(ハネ上がった土地建物)を掴んだ会社、個人は、その後の暴落でⅡ.次元に記録した土地建物の時価が暴落し、含み損を抱えてしまいます。

一方でおカネの源泉である、Ⅰ.次元の借入金は返済を迫られ、そのために、暴落した土地建物を損切りすることで、含み損がⅠ.次元に利潤のマイナスで顕在化してしまいました。会社は倒産し、個人は自己破産を余儀なくされ、負け組みなってしまったのです。

<つづく 5.貸借対照表には権利と義務が> 

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