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2008/01/14

お奨め書籍「三位一体モデル」中沢新一著

書名 「三位一体モデル-TRINITY-」
著者 中沢新一
出版社  (株)東京糸井重里事務所

昨年一月に出版されベストセラーになった本です。腰巻に「30分で読めちゃう」とタモリの書評があります。僕には30分というわけにはいきませんでしたが、まあとりあえず60分かければ読み終えることができます。「三位一体」という思考モデルの提示ですから、日常のビジネスシーンにも、プライベートな生活上のことにも、役に立つ思考モデルです。座右に置きたい一冊です。
 古くは児雷也に登場する、「蝦蟇-蛞蝓ー大蛇」の三すくみ構造、「グー、チョキ、パー」のじゃんけんモデル、「真-善ー美」「心-技-体」等々そして、諸葛孔明が劉備に提言した、「魏-呉-蜀」の天下三分の計に見られる三国鼎立の安定構造も、三位一体モデルと想像できれば応用が利きますね。

 著者は、読者を引きずり込むように「価値が増殖する世界」と語りはじめます。そしてサブプライム問題、三角合併によるM&Aと、膨張する今日の資本主義社会の、この膨張性を三位一体構造で明らかにしています。西欧社会がなぜもっとも資本主義に適合できたのか?なぜイスラム教社会とキリスト教社会は対立するのか、答えがこの本の中にあります。
 それはキリスト教があるときから、神は「父と子と聖霊」の三位一体であらわれると表現したところにあるといいます。そして、「聖霊」については、P22に「スコラ学において『聖霊』とは、躍動し、増殖し、拡大し、伝染していくもの」とあります。神にこの聖霊(スピリット)を組み込んだところに、増殖の原理、増殖の原点があるというのです。
 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の根っこは一つといわれていますが、イスラム教では利子を認めていません。イスラム教が「聖霊」を認めていないことと符号します。
 この聖霊と貨幣がとても似た動きをするのです。僕も当ブログで、「紙切れ通貨は浮遊霊だ」と再三書いてきましたが、著者は最終章で 「『霊』の部分が増殖し、ゆがんでしまった「三位一体」の構造を、本来の正しいかたちに戻していく、その方策を見つけていかなければなりません。そのとき、この『霊』の問題ととくに深い関わりを持っているのが、『情報』に関わっている人、「経済」に関わっている人、「広告」に関わっている人・・・・・・などの人たちです。なぜなら、それらの人たちは、ほかならぬ「価値増殖」に関係しているからです」と結んでいます。
 「霊」が価値の”創造”ではなく”増殖””拡大”するというところに重要な意味を持っています。古代から世界各地の信仰、宗教にも「霊」がでてきます。その霊は、土地や森林、海、生物といった造物主と深く、分かち難く結びついていました。「父と子と聖霊」と三位一体とすることで、解き放たれ浮遊し、増殖する可能性をもつようになったのです。
     <桑田二郎の三位一体>
3040_2 桑田二郎著「マンガとエッセイでつづる般若心経第三巻」では、般若心経の「色即是空」を「色-空-霊」の三位一体で表現しています。ここでの霊は増殖、拡大をしないのでしょうか?
 この現実世界の生命現象(色)はすべて、大自然の法則(空)から成り立っている、そして霊は、魂の進化を通して「空」へともどっていくと表現しています。
 増殖、拡大を防ぐために、「色即是空」「空即是色」、「色不異空」「空不異色」と、くどくどと引き戻して、色と霊とを分かち難く結び付けようとしているのではないかと思います。
 そういえば、桃太郎の家来も「犬(勇気)-猿(知恵)-雉(情報)」の三位一体、三蔵法師の従者も三位一体です。
 1971年8月15日ニクソン大統領は、米ドルと金とのリンクを断ち切りました。以来貨幣は、純粋紙切れ通貨となり、糸の切れた風船のように、浮遊霊として自己増殖の道をひた走ることになります。
 

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