« 雪のやんだ庭の一才柚子 | トップページ | 墨絵の兼六園 »

2008/02/16

新聞報道「農林水産物輸出好調保つ」

 <日経新聞朝刊>
20080201nm050_2  日本経済新聞の2月1日の『農林水産物輸出好調保つ」の記事には、明るい兆しのようなものをを感じました。農業に従事する方々が、この明るい兆しをいかに解釈して、変化に結びつけ、自分の未来を明るくしていくかが問題です。
 農林水産物の輸出は16%増、過去三年二ケタの伸びを示しています。輸出先の第一位は香港、アジア地域の富裕層向けに輸出が伸びています。
 総額4、300億円、リンゴだけで約80億円、梨など果実が伸びているようです。日本の農業にも活路がありますね。
 しかし記事はこう結んでいます。「輸出が好調なものは富裕層向けの高級品が中心。『日本の農産物が海外で大衆化するためには価格競争力の強化が必要だ』・・・・・・・・人口減で縮む内需頼みから脱却するためにも、農業の大規模化による生産性の向上が必要になる」と。
   

 記事の後半は、またいつもの調子、我田引水というべきか「大衆化→価格競争力強化→コストダウン→生産性向上→大規模化」と日本人の好きな「低価格、大量生産、大量販売」への道です。未だに産業社会の価値観から抜けていませんね。
 未だに自己中心的に、輸出幻想から抜けていません。輸出超過の継続は、貿易相手国の雇用を奪っていることと同じです。新興国で作れるものは、新興国に譲っていかなければ諸外国との共存はできません。1980年代後半まで、輸出に狂奔して、内需振興を怠り、ドルを不胎化して、円安を志向して経済成長を求めてきました。ジャパン・アズ・ナンバーワンとおだてられて、プラザ合意で円を切り上げ(米国債を切り捨て)られてしまいました。
 工業製品でさえ、コストでは新興国にかなわないことは証明されています。農薬入り餃子事件で明らかになったように、すでに日本の食は、工業製品の輸出超過の見返りに中国をはじめ、海外依存度60%を超えています。
 その依存度を下げるために、農水産物の競争力を高めて、農林水産物の輸出を増やすというのは、もし仮に出来たとしたら、農水産物の輸入が減ることになり、諸外国の立場からみれば身勝手な話です。
 生産性とは分子が粗利益(付加価値)分母が投入労働量です。工業生産は、資本を投入し設備投資をすることで、投入労働量を減らしてきました。 もし仮に農業水産業を大規模化して、投入労働量を減らして、生産性を向上できたとしても、減らした労働量は国内で、無業として吐き出されるだけです。今若い普通の人の仕事がないのも、かつて国内で生産していた普通の仕事を、コストダウンと称して、中国アジアへ輸出(製品として輸入)してしまったからです。
 現実に農業を大規模するには土地という制約があります。工業生産の生産設備のように、屋上屋を重ねることもできません。農地の大規模化は、山国日本では太刀打ちできません。
  人間は最も単純な構造、単細胞の”いのち”さえ創造することはできないのです。自然の力を借りて生産(増殖)をしている、節度をわきまえておかなければならないと思うのですがいかがでしょうか。
 新聞記事の中の明るい兆しを取り出すとすれば、日本の農水産物をアジアの富裕層が食べているということです。中国13億人、インド10億人、EU8億人およそ30億人、その中の富裕層向けにひたすら、安全で、安心で、美味しい食料を、手間暇かけてつくり、高価格で売ることを心がけるのが現実的な道だと思います。
 ルイ・ヴィトンをはじめ世界のファッションブランドでさえ、アジアの富裕層は、日本の百貨店で買えば、偽物を掴まされることがなく、安心だといって飛行機で買いに来る時代です。
 紙切れ資本が増殖してしまった今日、紙切れ資本の働くところは、コモディティ化の進捗も限りなく加速していきます。工業製品も、安価なものは新興国に譲り、日本国内では安全、安心、高性能なものを作り、高価格で売り続けるけることが、日本の企業、ひいては日本人の生きる道ではないかと思います。
 2月3日の日本経済新聞朝刊の「NEWSな数字」でも日本のチョコレートも”アジアの富裕層向けに、10年で6倍に伸びた”と報じています。
 いいかげんに「大量生産、大量販売、大量廃棄」の呪縛から日本人を解き放ちたいものですね。自戒を込めて、このブログもしょせん、我田引水には違いありません。
 ダーウィンの進化論に示唆を与えたといわれる進化論の島、ガラパゴス諸島では、今この瞬間にも進化の途上を垣間見ることができるそうです。ガラパゴスには海イグアナと陸イグアナが棲息していますが、元来陸イグアナしかい棲息してなかったのです。
 陸の植物が減り、食料に困ったイグアナの一部が背骨間隔を短くして身体を小さくしてエネルギー消費量を押さえて,食料危機を乗り切ったのです。さらに一部のイグアナは、恐る恐る海に潜り、海中の海草を食べ始めます。激しい海流に押し流されないように、海中で必死に岩にしがみつくのです。次第に足の爪は鋭くなり、足は頑丈な足を備えるようになりました。陸と海とに棲み分けていったのです。
 近年エルニーニョ現象による海焼けで海草が減って食糧難が起きています。海イグアナはその食糧難に適応するために、背骨を縮め身体を縮小して、エネルギー消費を抑えるようになったそうです。そして一部の海イグアナは、陸に上がりサボテンを食べ始めたのです。陸イグアナはサボテンに登ることができないので、背伸びをして食べることしかできませんが、海イグアナは爪が鋭く足も頑丈なのでサボテンに登って高いところの葉を食べるようになったそうです。この海イグアナの子孫は、海陸両棲、新しいイグアナへと進化していくことでしょう。日本人もガラパゴスのイグアナを見習って、食のあり方、生き方を変える時にきているのではないかと思います。 

|

« 雪のやんだ庭の一才柚子 | トップページ | 墨絵の兼六園 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/17927448

この記事へのトラックバック一覧です: 新聞報道「農林水産物輸出好調保つ」:

« 雪のやんだ庭の一才柚子 | トップページ | 墨絵の兼六園 »