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2008/02/25

映画「マリアのへそ」を観て!

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未来塾のメンバーで、マイミクの<candleさん>の奨めで映画「マリアのヘソ」を観ました。フィリピンのストリートファミリーの生き様をストレートに扱ったドキュメンタリータッチの映画です。主役のマリアはじめ、ストリートファミリーを演じる皆さんも現実のストリートチルドレンです。
 テーマは屋根のあるスラムの家にさえ住めないで、歩道で寝起きする極貧のストリートファミリーの生活を描いた映画ですが、政治が悪い、資本主義が悪いといった社会派の映画ではないのです。
 野澤和之監督(脚本)のカメラ目線は、ストリートチルドレンが市場で野菜を拾い、リンゴを盗み、物乞いをしながら、必死に命をつないでいるにも拘わらず、時折見せる率直に明るい笑顔に注がれています。
映画「マリアのヘソ」
http://marias-navel.com/
上映映画館
http://www.uplink.co.jp/info/map.html                

今、日本人の多くはこの豊かさの中にいながら閉塞感に覆われ、多くの若者は引きこもり、家族内でいがみ合い、傷つけ合っています。そんな日本の人々にこの映画で、明るさを取り戻して欲しいと野澤和之監督は願っているようです。
 疑い深い僕としては、あのフィリピンのスラムの悲惨さや、ストリートで働き大人に蝕まれている、子供達の悲惨な姿、格差の現場からあえて笑顔を切り取った監督の意図を確かめたいと思いつつ映画を鑑賞しました。
 事故に遭い働く意欲を失った父親、妻(子供にとっては母親)に逃げられ、さらに自堕落に落ちていく父親、その父親と共に路上で寝起きする主人公マリア(6才)を中心に、次兄ジョエル(12才)、長男アラニオ(16才)のストリートファミリーの生活を描いています。
 マリアとジョエルがバスに乗り、母親の住んでいるはずの農村にたどり着きます。実家でおばあちゃんには会えるのですが、とうとう母親の所在も明かされず、おばあちゃんの同情の涙をもらっただけで、帰えされてしまいます。 母親の母親は孫よりも、娘の未来に重きを置いた、と想像する自分の非情さにあきれながら映画を観ている自分がいます。
 ジョエルが市場で盗んだリンゴを家族で食べるシーンがあります。アラニオは「家族だからな平等に」といってリンゴを4っつに切り分けます。父親が自分の分をマリアに渡すと、マリアは「家族だから平等に」と兄の言葉を反芻しながら、それを三つに分けるのです。体力を保つギリギリの食だからこそ、平等に分けて生きるストリートファミリーの微笑ましい姿、飽食の日本に暮らしながら、家族で奪い合う醜い姿が合わせ鏡に映っています。
 父親は子供達のけなげな生き方に励まされ、再起を目指しますが(観客の僕も期待のシナリオ)再起を目前に行き倒れてしまいます。再起する体力も残っていなかったのです。子供達三人では過酷な環境で、生き抜くのは困難と、アラニオは弟と妹を養護施設に預けることにしますが、監督はその夜路上で一人、膝を抱えるアラニオを映し出します。寂しいけれど、自分が家長として、家族三人で暮らすだけの稼ぎを得る力をつけるまで、その寂しさに耐えていこうという強い決意を漂わせるカメラワークです。 
 最近の日本人は「夢を持て」「夢を与える」「夢があるから生きられる」などと軽々に「夢」を口にしますが、それが「夢が持てない」「未来がない」と自殺をしたり引きこもったりします。この映画を観て感じたことは、いかに貧しくても、生存ギリギリの、乏しい食事を家族で分け合って生きている、生きているうちに、夢が生まれ、希望が育っていくという逆転が起きる、むしろ後者のほうが自然な形なのではないでしょうか?
 夢なんか持てなくても、未来が見えなくても、今生きているだけで幸せなんです。野澤監督が映画を通して訴えているのは、このことかもしれません。是非ご自身の目で、ご自身の心で確かめてください。
 2/22日の上映の後、マリアが映画の中で着ていたTシャツを復元した久米信行さんと野澤和之監督の対談がありました。マリアのTシャツを間に、復元したTシャツを着たお二人の対談が、映画の余韻とあいまって、明るい雰囲気を醸し出して出していました。テーマの深層の重々しさを、徹底して押さえて、明るく仕上げた監督の狙い通り、後味の明るい映画です。
 この映画の普及に力を貸そうと支援を買って出たcandoleさんが野澤和之監督と久米信行さんを引き合わせ、その縁がTシャツの復元につながっていきます。その久米信行さんと、僕も以前からご縁があったり、また僕の縁で仲間が鑑賞に駆けつけてくれたり、偶然が偶然を呼びながら変化していく、22日は偶然の不思議、複雑系の不思議を楽しんだひと時でもありました。
<映画「マリアのへそ」公開ブログ>
http://blog.livedoor.jp/mnavel/
 candleさんがご子息の支援で立ち上げたブログです
<久米信行さんからのメッセージ>
私が心をこめて複製した
  「マリアのへそ」公式Tシャツは、
  デザインガーデンで発売を開始しました。
  100人も買ってくだされば、
  主役の3人は学校に通うことができるのです。
  >>>マリアのTシャツを再現してネットで販売、子供たちの夢を....
    http://allabout.co.jp/mensstyle/tshirt/closeup/CU20080218A/?NLV=NL000169-215
    http://designgarden.jp/i/C_3210_4_20080221_160750/

    http://designgarden.jp/i/C_3210_5_20080221_161537/

 

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コメント

コメントありがとうごございます
<伊藤義将さん>
 上映の折に縁者にも薦めたりしました。野澤監督にも、早くDVDにと縁者を紹介しましたが、力不足でした。伊藤義将さんからDVDにされたという報をいただき、野澤監督の想いもまた広がることでしょう。微力ではありますが、また動いてみます。

投稿: 懐中電灯→伊藤義将さんへ | 2010/04/26 13:47

映画『マリアのへそ』DVD製作プロデューサーの伊藤と言います。読ませて頂きました。監督・野澤の製作意図を的確に言い当てた内容で感服致しました。
私の肩書にありますように、DVDを製作しました。そして販売となります。
映画的には一般的な商業的ドラマツルギーを排した映画で、一口では語ることのできないストーリーを持った映画です。そのためなかなか紹介されず、上映の機会に恵まれていませんが、日本において悲惨にも感じられる生活を映像的にも美しく描いた作品で一見の価値ありだと思います。
もし皆さんのお目にかかる機会があれば、様々な見方で堪能して頂けると嬉しく思います。
よろしくお願い致します。

投稿: 伊藤義将 | 2010/04/25 02:30

坂道様

 candleです

 はじめて、メールをさせていただきます。

 懐中電灯さんとごいっしょに、映画「マリアのへそ」の上映の支援にかかわっています。

現在、野澤監督がご事情があって、故郷新潟に戻っていらっしゃいます。

坂道様のご希望、地方での上映に関して、私が電話でお伝えをさせていただきます。

結果は、私か懐中電灯さんから、ご連絡をさせていただきます。

少しお時間をください。

よろしくお願いします。

投稿: candle | 2008/02/27 20:56

コメントありがとうございます。
<坂道登さん>
 テーマがテーマですから、商業ベースの上映が出来ないので、野澤和之監督は、各地で有志がミニ上映を開催していただくことを希望しています。坂道登さんが、お骨折りいただけたら、きっと野澤和之監督も喜びます。
 このコメントを是非僕のミクシィの日記にも書いてください。ミクシィのほうが見ている方が多くなりました。
 

投稿: 懐中電灯→坂道さん | 2008/02/26 22:19

映画を実際に見ていないので内容については何も言うことが出来ませんが、仰るとおり今の日本の生活では廻りにものや情報があふれ、生きている喜びとか健康である喜びとか家族に囲まれている喜びとか等々、ありがたさや希望の原点を自分も含めて忘れているような気がします。

地方での上演は無いのでしょうか?ぜひ上映して欲しいと思います、家族で見に行きたいと思います。
せめてDVDでも出てくれないかと期待しています。


投稿: 坂道登 | 2008/02/25 22:49

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