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2008/12/07

「努力は報われるのか、報われないのか?」

「努力は報われるのか?報われないのか?」「夢は叶うのか?叶わないのか?

 格差が広がってしまったことに起因するのでしょうか、ことさら「努力は報われる」「夢は実現する」と若者の耳に囁く大人が多いのに驚きます。しかし右の耳にそう囁きながら、左の耳には「報われないとすれば、それは努力が足りないからだ!」「それは自己責任だ!」とサブリミナルで囁いています。若者を鼓舞しているつもりなのでしょうか、それとも阿って、非正規雇用等々様々な仕組みで若者を搾取しようと狙っているのでしょうか。

原理主義はいつもシンプルイズベスト、楽観的?でいいですね。竹中平蔵さんのように構造改革を唱え、そのひずみが出ると、いまだ構造改革が不十分だからだと唱えればいいのです。新自由主義が駄目なのではない、いまだ既得権に守られた守旧派が残っているから駄目なのだと。「努力は必ず報われる」派も原理主義の一流派なのかもかもしれません。

 長年「経営とは何か?」をテーマに企業の幹部研修の講師を生業にしてきました。毎々冒頭で「経営とは複雑系」です。「因」→「縁」→「果」の縁起の働く世界です。自分の思い通りにはいきません。「努力は必ず報われる」という常識?は通用しません。いくら努力しても「縁」によっては報われないまま終ることもしばしばです。否、報われないことのほうが多いと思ったほうがいいでしょう。その代わり答えは一つではなく、幾通りもあります。と申し上げます。

 僕のこの一言が、研修会場の陰でヒソヒソと批判の対象になります。曰く「あの講師は出鱈目だ、『努力しても報われない』なんて言ったら、誰も努力をしなくなる」と。頭のてっぺんから足の先まで、どっぷりと西欧の因果応報に浸かっています。幹部研修の受講者の多くは、そこそこ報われて、そこそこ成功していると思っている方々なのでしょう。

僕としては、精一杯努力したのに、そこそこしか報われていないと思っていて、一抹の不満を抱いている方々への応援歌のつもりなのですが、誤解されてしまいます。

 「情報は受けての勝手」と自認していますから、直接、問いを返してくれると、議論して、お互いのズレを確認できるので有難いのですが、陰でひそひそでは、誤解を解消することが出来ないまま研修を終えてしまいます。

 自分が努力していると思っている程度の努力で努力が実るほど、現実社会は単純ではありません。それは、未来は不確実であり、世の中は理不尽だからです。自分が努力していることなど忘れて、当たり前になってしまえば、それは努力ではないのです。後は神仏にお任せです。もし報われなかったら、それは努力が足りなかったからではなく、「縁」が無かったからです。

 若い人に「努力は必ず報われる」と囁くから、若者はちょっと努力して、報われないといって直ぐに努力を放棄してしまいます。努力が報われると囁く大人ほど「近頃の若者はは努力が足りない」「自己責任だ」というのです。

我々老中の親世代は「石の上にも三年」といったり、「天網恢恢疎にして漏らさず」といったり「お天道様が見ている」といって世間の見えないところで努力するよう洗脳したものです。

 「夢は叶わない」とはっきりいったほうがいいと思います。老中の方々に、街頭でマイクを向けて「若い頃の夢は叶いましたか?」と問いかけたら「叶いました」と答える人はごく少ないのではないでしょうか。しかし若い頃に夢を持つ習慣が身についた人、努力する習慣を身につけた人は、描いた夢に敗れても、また次の夢を描いて歩き始めます。老中になると、夢は叶わなくても人生の満足度は高いのです。あの時、頑張ったから今日がある、「俺も身のほど知らずの大きな夢を持ったものだ!」と微苦笑できるのです。

さあ報われるなんて、成果を期待せず、「努力をする癖をつけましょう」「夢見る癖を持ちましょう。

若者も!

老中も!

「報われる、報われない」「叶う、叶わない」答えは冥土へ行ってから。
<追伸>

 我々老中世代がしばしば、「近頃の若い者は夢が無い!」「夢を持て!」と鼓舞します。しかし考えて欲しいのは、我々老中世代が、「夢」と思っていたものの多くは「欲」に過ぎなかったのではなかったか。”もっともっと”と。
 夢が叶って、果たして幸せになったのか?老中世代は胸に手を当てて考えてみる必要がありそうです。”夢”は生命の源泉、生きている間、湧き続けるもの、叶ったときは死ぬときです。「僕ぁ、幸せだなぁ」とつぶやいて死にたいですね。

 そうそう、映画「おくりびと」のワンシーン、棺桶の中に女房と娘と孫娘のキスマークを三つも貰っている、幸せなおじいちゃんがいました。

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