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2009/03/12

地域振興券と「エンデの遺言」(1)

1.涸れ井戸に呼び水?
地域の経済を刺激するために、あちらこちら地方公共団体が地域振興券を発行しています。遠目から見ていると果たして、地域経済にとって役に立つのだろうか疑問に思えます。先日訪れた、北海道の別海町でも八千円で一万円の商品券と交換しました。使われた振興券は翌日から現金と引き換えることができるのだそうです。一夜にして25%の利回りになります。使われた25%分の補填は町の税金です。
 補填の率に差はあるものの、各地の地方公共団体で実施が始まっています。地方振興券の買い物も多くはナショナルブランドの物、中国で作った物等など、お店も多くは広域大手流通店舗で、地元に本社を置く地元資本ではありません。全額使ったとしてもすべて、中央に吸収され地元には蓄積されません。補填分は地元の税金ですから、地元の蓄積が失われることになります。
 現実には地方公共団体も赤字財政借金まみれですから、補填分は未来の税金を先取りして、中央へ差し出すことになります。涸れかけた井戸に呼び水を突っ込んでさらに汲み上げ、井戸が涸れる時期を早めることになります。地域振興券と交換した個人が換金して貯金しておけば、需要は喚起しませんが、補填分は個人の懐に残りますから、中央へ流出しないだけ、まだましなのではないでしょうか。今大事なことは、経済の活性化ではなく、人々の生活の活性化です。経済は手段、生活が目的です。

ここでも人間を消費者と生産者に二分する経済学の視点では解決できないことが分かります。今日の不況を消費者という視点で見れば、需要不足と解釈して、需要喚起策として税金で補填して地方振興券を需要の呼び水にします。人間を生活者という視点でみれば、地域の人々の、日々の生活に役に立つにはなにをすればいいのかを考えます。地域振興券を使うにしても一味違ったものになるのではないでしょうか。たとえば、地元に本社のある会社に限り換金を認めることにすれば、地元商店で買い物をするようになります。本社が地元に無い広域流通業では、「地域振興券お断り」のポスターを貼って辞退すればいいのです。地元に協力して、使ってもらって、受け取った地域振興券を地元で再使用することを考えれば、地元に本社のある会社の売上につながり、地元に還流します。もっとも真面目に地元に協力する気があればの話です。現実には地元の商店の対応にも問題があります。地元の商店も地域振興券で買い物すれば、「追加で10%割引します」といった自立的な参加も出来るはずなのですが。
2.十年前を思い出す
 1999年4月にも国の予算6千億円を地域振興券として配りました。今回は10年前を思い出したのか、あの時も効果は薄く、あまり評判の芳しくなかった施策を地方公共団体が自主的に実施しているようです。十年前の地域振興券の頃にも「経営とは何ぞや」をテーマに幾つかの町の商工会で研修の機会がありました。参加者の自営業者が「地域振興券で買ってもらっても、直ぐに換金できないから、仕入れ資金が不足するからあり難くない」といった声を聞きました。「それを運転資金というのだ」「運転資金も用意できないなら、商いはやめたほうがいい」「『地域振興券お断り』の張り紙を出せばいい」経営のイロハも知らずに商いをしている、あまりの依存心に、大人気なく声を荒げてしまったことを思い出しました。そういう商店の存在は隣人にとっても迷惑なのです。前を通るにも「買わなくてごめんね」「でも欲しいものがないんです」と、商店主と眼を合わせないように顔を背けて店の前を足早に通り過ぎるのです。当時もすでにシャッターを閉めている良心的な?商店も多かったのですが、今ではさらにシャッター通りは不毛の砂漠が侵食するよう拡がっています。時すでに遅し、地域振興券の発行は、使える地元のお店の再生から始めなければならないようです。みんなで貰えば怖くないそれでも十年前の地域振興券は、生活保護世帯、年金や受給者など様々な制約を設けて、低所得者、弱者へ配慮して配分しています。今回の定額給付金は、受け取ると「さもしい」と言われるにも係わらず、国民全員に等しく支給?することになりました。「みんなで貰えば、富者も「さもしい」と言われても怖くないのでしょう。

<続く>

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