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2009/04/27

「部下の過ち」と上司(権力者)の対応「『惻隠の情』を持って!」

 4月26日朝志賀高原にいました。講演の機会をいただいた上に前泊で温泉にたっぷり浸ることができました。5時起きして朝風呂へ、部屋に戻ってテレビにスイッチを入れると、朝から謝罪会見の光景が飛び込んできました。
 同じ信州のK市で○○財団の経理担当の32歳の女性職員が、40万円着服した不祥事の、○○財団の役員の謝罪会見です。「二度とこのような不祥事を繰り返さないために今後管理体制を強化いたします」といった毎日見ている、その場限りの謝罪光景です。
 問題をテレビ報道の「経理担当者の40万円の過ち」という範囲内に限定してという前提ですが、上司の責任は、
テレビの前で謝ることなのでしょうか?
謝れば責任を取ったことになるのでしょうか?
毎々のこの光景をいつも疑問に思うのです。

 僕自身も企業人としての仕事のふりだしが経理マンでしたから、自分の物差しと、一桁も二桁も違うお金を日々扱っていると、給料日の前日など出来心が湧くのは理解できます。当時上司に「出来心を顕在化させないようにするのが、経理のシステムだ」と教えられたものです。責任とはより上位のものに対して取るもの、部下が上司に対してとるものです。財団の役員はより上位の市民に対して責任を取るものであって、表沙汰にして、マスコミの前で頭を下げることではないのです。あの○○財団の役員のさらに上司は、多分K市の市民でしょう。市民に対して責任を取ってしかるべきでなないかと思うのです。
 部下より多額の報酬を得ている上司の責任、40万円程度の着服なら、上司が責任を取り、個人で修復して、陰で本人に二度と起こさないように説諭するのが初動の態度です。心の中では
「出来心を顕在化させてすまない。」
「対外的には責任は俺にある」
「しかし二度と赦さないぞ」と、部下に謝る場面だと思うのです。
 僕の縁者の中小企業の経営者は、女性経理担当者のこの十数倍もの不祥事でも自分のポケットマネーで穴埋めして、対外的には「そっと黙って」依願退職で済ませています。懲戒解雇すれば、退職金も払わなくても済みますが、公になっては本人の履歴に傷がつき、再就職もままなりません。より大きな権力を託された者は強者として、「そっと黙って」という弱者に対する「惻隠の情」が欠かせないのです。
 今システムというと、「それでは即コンピュータ化を」といった短絡思考になりがちですが、しかしいかにコンピュータが発達しようと、システムとは仕組みのこと、人が作るもの、人が運営するものとかっての僕の上司は教えてくれています。
 当時の上司ならきっと「そっと黙って」ですませたことでしょう。もっともそんなへまな仕組みは、当時卓上電子計算機と呼び、8桁の加減乗除、ワンメモリー、今なら数百円で買える電卓の価格が大卒初任給の一年分だったころでも作っていません。
 仕組みの背景に社員を守り人を育てる心が潜んでいるからです。半年以上は発見されず続いたその仕組みにこそ問題があり、そんな仕組みを放置するような上司だからこそ責任を取らないのでしょう。
 草なぎ剛の今回の問題でも明らかなように日本の今の惨状の根源は、大臣、警察、マスコミといった権力を持った強者の側に「惻隠の情」が失われてしまったことです。

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