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2009/09/03

今読む!網野善彦著「『日本』とはなにか」

書名  「日本」とは何か 
著者名 網野善彦
出版社 講談社学術文庫
 2009年8月30日の総選挙で自民党が大敗北しました。賛成票を投じた選挙民も反対票を投じた選挙民も、そして投票所に足を運ばなかった30%の選挙民も、投票権を持たない若い方々も、すべての日本人は、好むと好まざるとに係わらず、意識していたか、していなかったか、期待通りの結果が得られても、得られなくても、この日、日本の国の有り様の大変革を受け入れる覚悟を固めたことを、記憶に留めて置かなければならないと思います。
 国の形を変えるということは、今後も経済成長優先でいくのか?輸出至上主義でいくのか?農業をどうするのか?地球環境保護のあり方?憲法9条はどうするのか?非核「三原則を守るのか、変えるのか?天皇制の有り様は?、様々な問題に答えを出していくことでもあります。

明治維新で国の形を、天皇を中心とする中央集権の帝国主義国家に変え、その結末が、焦土と化した日本列島、世界で唯一原子爆弾を兵器として投下され、大量虐殺をされ、アメリカとの戦争に敗れました。
 そしてその後、天皇を頂点とした国体をアメリカ指導の民主主義に変えて、今日まできました。今64年ぶりの大変革の時です。具体的には55年体制という東西冷戦構造下の国の政治の形が変わるのです。1989年に東西冷戦の象徴、ベルリンの壁が崩壊して20年ですから、日本国民としては、かなり時間を掛けた覚悟の変革ともいえると思うのです。
 日本人すべてがこの大変革の影響から逃れることはできません。影響を受けるとすれば、これからの「国のかたち」はどんな形になるのか、いやむしろどんな形にしたいのか、思い通りになってもならなくても、不確実な未来の変化を受け入れていく以外にないのですから、精一杯自己中心的に、自分にとってどんな国の形が好ましいのか、個々人も考えておいたほうがいいのではないでしょうか。自己中心的に考えたその上で、今度は精一杯、”他利(自利以上利他未満)”を目指すことにしましょう。 
 これからの国の形を考えるにあたっては、日本は農耕民族!、瑞穂の国!、日本人は単一民族!、日本は神道の国!といった長年月のうちに、刷り込まれた先入観、 学校で学んだ日本の歴史を一度忘れて、この日本という国の成り立ち、日本のこれまでの歴史を振り返っておくのもよいのではないでしょうか。
 講談社の「日本の歴史」全26巻の巻頭を飾る初巻が網野善彦著「日本とは何か」です。著者は本書P35に世界地図を逆さまにした図を掲載して、日本はユーラシア大陸→サハリン→北海道→本州→九州→対馬→朝鮮半島と弧を描いて、日本海を内海として連なっており、海に囲まれた孤立した島国ではないと書いています。
 いつから倭国は日本国と名乗るようになったのか、、日本人とは誰のことなのかと問いかけています。今の日本人の多くがそれを知らない、日の丸はいつから国旗になり、君が代はいつから国歌になったのかということも。
 ヤマト朝廷が中華帝国から自立して、天皇という称号を使い、倭国から日本国と名乗るようになったのは7世紀後半であろうと書いています。天皇制を形づくったのもその頃のことのようです。したがって当時ヤマト朝廷の支配の及ばなかった東北や北海道、南九州、沖縄に棲む人々は当然の事ながら日本人ではなかったし、日本国を名乗る以前「日出る処の天子・・・」と隋帝国に使者を派した、厩戸王子(聖徳太子)は倭人であって日本人ではないというのです。
 「百姓」というと今では農民と同意ですが、元来「百姓」とは一般人民という意味であり、日本列島には漁業、農業、林業、手工業、商業様々な仕事に従事する、多様な職能の民が活発に息づいていたし、対馬列島経由で朝鮮半島と、東シナ海を経由して東南アジアと、日本海、オホーツク海を経由してユーラシア大陸東北部(沿海州)と活発に往来していたと書いています。
 今この国の形が大きく変わろうとしています。日本の成り立ちを再確認して、この後、この国の形をどうしたいのか、自分や家族のこれからをどうしたらいいのか、あらためて考えてみるガイドブックとして、網野史学に触れてみてはいかがでしょう。

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