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2009/11/21

映画「クリスマス・キャロル」を観て(2)「お金が大事!」は本当?

小説「クリスマス・キャロル」の舞台は世界に先駆けて産業革命の隆盛期を迎えていたロンドンです。農業機械の発明による生産性向上や、工業用地の拡大による農地の減少で、農村を追われた人々が大量に都市に流入し仕事もなく格差に喘いでいた時代、しかも大不況の最中です。チャールズ・ディケンズ自身も父親がパン屋のつけが払えず、訴えられて監獄に繋がれるという極貧の中に育っています。
 当時は借金返済の不履行は自由(未来)を失うことだったのです。お金は未来のエネルギーです。借金によって他人の未来のエネルギーを現在という時の中で費消した者は返済できないときには、己の未来の先取りとして獄につながれ、自由(未来)を捧げることによって返済したのです。
 クリスマス・キャロルの時代から160年余りを経た今日、貨幣経済は紙切れ紙幣、株券、電子マネー、デリバティブ等々様々な金融商品を生み出し、目に見えない浮遊霊を増殖する仕組みへと進化してきました。サブプライムバブルはこの浮遊霊が跳梁跋扈、踊り狂った宴の跡なのです。
 日々の暮らしに必要なあらゆる物品、サービスが商品(貨幣)化してしまった今日、ますます人々は「お金が大事!」「お金が大事!」と叫ぶようになってきました。本当にお金が大事なのでしょうか? 

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2009/11/16

映画「クリスマスキャロル」を観て(1)「現在・過去・未来」

名作「バック・トゥ・ザ・フュチャー」のロバート・ゼメキス監督が チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」をデジタル技術を駆使して3Dで映画化するというので、上映されるのを首を長くして待っていました。11月14日上映初日早速家内を伴って観に行きました。ファンタジー映画でもあり、子ども連れの若い家族も多く、気のせいか地方都市の小さなスクリーンの館内も久々に賑わいを感じさせる雰囲気でした。
 1843年に発表と同時にベストセラーになった小説の舞台は産業革命の最盛期、格差が拡大していく、大不況下のロンドン、主人公は金貸し守銭奴スクルージです。町中の嫌われ者守銭奴スクルージはクリスマスの夜三人の精霊の訪問を受けます。

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2009/11/03

今読む! 小野善康著「不況のメカニズム」

書名   「不況のメカニズム」 -ケインズの『一般理論』から新たな「不均衡動学」へ 
出版社  中公新書(1893) 
著者   小野善康
 赤い腰巻には「世界はなぜ『100年に1度』の絶望的不況に陥ったのか」と興味深いキャッチコピーが書かれています。
 日本では、1990年のバブル崩壊以後、国債残高は増加の勢いを増しGDPの二倍、まもなく1,000兆円に迫ろうとしています。いくら公共工事につぎ込んでも、金融機関の救済、円安誘導で輸出企業を後押ししても、企業の法人税を引下げ、所得税の累進を緩和し、相続税を引下げ富裕層(エネルギッシュな階層?)を優遇しても経済は回復するどころか、バブルの度に日本経済は活力を失ってきました。
 民主党は「コンクリートからひとへ!」のスローガンの下、母子加算の復活、子育て支援、高校教育の無償化等々「ひとへ」の策を積極的に打ち出しています。これを「社会主義政策だ!」「大きな政府への道だ!」「国民の自立心を奪う!」「怠け者を作る政策だ!といって反対する方が沢山おられます。
 一方「コンクリートから」の策としてダム、道路、空港建設など公共事業の見直しを進めています。これでは、停滞する未曾有の?経済危機は乗り越えられないと批判をします。
 ベルリンの壁が崩壊してにすでに20年、世界が資本主義化した今日、財政政策を自由主義か社会主義かといったイデオロギーの対立に持込むには無理があります。
 ケインジアンの著者は、ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」の章立てに沿って、この問題を経済学の素人にも分かりやすく丁寧に、純粋に財政政策として”コンクリート”(供給、生産、)サイドか?”ひと”(需要、個人)サイドか?どちらが効果が高いかを考えるときにきていると解き明かしています。
 構造改革によって生産サイドの自由度を拡大し、経済効率を高める政策がいいのか?今までのように公共事業を推進するほうがいいのか?それとも富裕層から貧困層へ所得の再分配することで需要を喚起したほうがいいのか?失業問題?、内需拡大?等々、今が旬の一冊です。

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