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2011/05/07

雪の燕岳(2)槍ケ岳が見えた

   <表銀座縦走路>
20110430dsc005161b 燕山荘の顧客へのおもてなし対応は毎々新しい発見があります。きっと以前からあったのでしょうが、お客は一度ではすべてに気づかないものです。今回気づいたもてなしがあります。強風に煽られながら、山小屋の重い扉の前にたどり着きました。

<黒々とした北鎌の岩壁>                        20110430dsc005141b     どこの山小屋にもある張り紙がないのです。張り紙には「アイゼンを外してから小屋に入ってください」です。
 足を引きずり、疲れてたどり着く、吹雪のとき、今回のような強風に煽られているとき、座る椅子もなく、立ったままアイゼンを外すのはかなり辛い作業です。燕山荘にはその張り紙がない、恐る恐る重い扉をこじ開けて小屋の中に入り、半信半疑で椅子に腰を下ろしアイゼンを外しました。
 たまたま経営者の赤沼健至さんも、今日自社企画の春山体験ツアーに同行して入山していたので、夕食後の懇談の折、それとなく聞いてみました。「中で外してよかったのか?」と。答えは「当然です。そのために合板を並べてあるんです。」そうです。この季節、数枚の合板を並べれば、土間も痛まず、登山客も、ゆっくり暖かい空気を吸いながら、ほっとしてアイゼンを外せるのです。この山小屋が顧客満足一番の理由がここにあります。

<大天井岳の山陰の先に北穂高岳の山頂>
20110430dsc005151b_2 二日目の朝。今日の日の出は4:40分、3時頃から布団の中でそわそわしているのですが、周囲は静まり返っています。外は天候が悪いのか?と思いつつ、布団を抜け出して外へ、東の空は一面の雲、今日は山の楽しみのご来光は諦めのようです。

                           <朝日に輝く燕岳>                           20110430dsc005251b_3    さりながら三脚とカメラを抱えて4時にそっと布団を抜け出しました。 三脚を立てるどころか身体ごと吹き飛ばされそうな強風を岩陰で避けながら、ひたすら槍ケ岳の山頂を覆っている雲が風に飛ばされて、山容を現すのを待ちます。


   <槍ケ岳>20110430dsc005301b              
 体感温度は零下10を超しているでしょう。馬鹿げているなぁと自分にあきれて呟きながら周囲を見回すと、手袋の上からかじかんだ手をさすっている、ご同類もちらほらいて、一安心。

<雪煙舞い上がる合戦沢の頭>                    20110430dsc005561b_3
 こんなことさえオンリーワンに徹することのできない自分を発見して微苦笑です。これではロンリーワンはなお更ですね。
 5時を過ぎる頃から雲が切れ槍ケ岳の山頂も姿を現してきました。東の空は雲が厚く、モルゲンロートとはいえませんが雪面も心もち赤くみえるようになり、シャッターを切ることができました。5時半の朝食も断っておいたので、時間を気にすることなく、カメラを抱えて気侭な時間を過ごして、8時下山を始めました。
 昨日登ってきた東側の合戦尾根も今日は合戦沢から強風が雪煙を巻き上げながら吹き上げてきます。尾根筋も、樹林帯の中も燕山荘の職員が切れ目なく標識を立ててくれているので、どんなに吹雪いてもルートを見失うこともなく歩くことができます。このシーズンこの山域が一番の人気になるのも、「自己の責任」の山の世界とはいえ、この安心感によるところが大きいのでしょう。
 そうそう、経営者の赤沼健至さんにワインをご馳走になりながらの懇談の折、いつしか話題が「見えるものと見えないもの」になったので、僕のこの頃の関心事「複式簿記に秘められた色即是空」をかいつまんで話しました。
 「負債及び資本が『空=命』」「資産は『色』」膝を打って納得してくれました。大正時代におじいさんが開いてから山小屋の「命」を紡いできた三代目、流石にB/Sの右側が「命」の意味を理解してくれました。有り難いと共に、意を強くしました。                            

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