« オリンパス粉飾事件の意味するものは? | トップページ | 明けましておめでとうございます。 »

2011/12/01

安易に”世代間格差論”に与しないで!

健康保険料の現役世代へ負担が増える。今の老中世代の年金と次世代の年金には大きな格差がある。これらを世代間格差と呼び、政府も、テレビ報道では、アナウンサーも評論家もこぞって眉をしかめて、「世代間格差をなくせ」といいます。たしかに現象としてはそうなっているしもっともに聞こえます。毎年40億円を超える財政赤字をいつまでも積み重ねるわけにはいきません。既に次代へ大きなツケを回しているのですから。
 小宮山厚労大臣は、さも当然のように記者会見を開き、そのためにも年金支給額の払い過ぎを次年度から調整すると得意顔で語ります。念願の大臣になって嬉しいのはわかるけれど、なんのために民主党選出の国会議員として、大臣になったのだろうか?
 
 
 

 年金支給額はこの数年デフレ調整をして来なかった。だから払い過ぎているから、次年度から減額する、といいます。ですが、デフレ調整が正しいわけではなく、国会で勝手に官僚のシナリオに従って粛々と決めただけです。 さらに年金支給開始年齢を68才まで遅らせるといいます。権力の座にある(政官財学のエリート)の方々にとっては、痛くも痒くもないことばかりです。
 年金を減額すれば細々と暮らしているお年寄り(現世代の弱者)が困るのです。そして年金支給開始年齢を遅らせると60歳から68才まで定年後も働くことになり若年層にとっては雇用場が減少することになります。大企業のエリートだった方々(現世代の勝ち組み)に、蓄積したキャリアを使って定年後の再雇用で、時給千数百円で働かれては、若者には太刀打ちできません。キャリアを積むどころか、スタート台に立つこともできないのです。
 育ち盛りの若い世代(現世代の弱者)に働く場が無いということは、”世代間格差”を縮めるどころか、絶望的な未来を現出することになります。
 今、”世代間格差”をあげつらっている方々の論理は、弱者間を分断し相互に争わせる、古今東西の権力者が取る常套手段です。
 古代ローマの競技場で己が生き残るために死闘繰り広げた剣闘士たち、それを観て喝采する市民(富裕層)の姿を連想します。その死闘を市民の娯楽として興行しているのは時の皇帝、もちろん費用も皇帝持ち。皇帝の選挙権を持つのは市民だからです。
 今、とても哀しいのはそのテレビ報道の興行を見ながら、消費税やむなし、年金減額やむなし、医療介護福祉予算削減やむなし、と洗脳されているのは、ローマ時代の市民ではなく、競技場で戦っている剣闘士たちだからです。競技場ならぬテレビ画面の中で演じているのがローマ時代の市民(富裕層)、弱者である庶民は、気が付かないうちに、お互いが傷つけあい、足を引っ張り合って格差の淵に沈んでいきます。
 ”世代間格差”をなくすための財政改革は、まず国会議員の定数20%削減、国会議員の報酬20%以上のカット、国家公務員、地方公務員の給与20%カットといった権力の座にあるエリートの方々が身を切ることが先決。弱者である庶民がお互いを分断して足の引っ張り合いをしている時ではないと思うのです。
 ヨーロッパの金融危機においても同じことがいえます。ギリシャ、イタリア、スペインといった国々の国民が怠け者だから国家財政が破綻したわけではなく、ドイツ国民だけが勤勉だったわけでもないのです。ドイツ、フランスの金融機関がそれらの財政破綻した国々にお金を貸して、各国の富裕層を減税をしたり、ドイツ、フランスから武器を買わせ、工業製品を買わせたからです。その上で国債を暴落させ、今度は財政再建といって庶民の生命線である、医療、教育といった福祉予算削減をするのです。
 日本人の多くもテレビ報道の評論家の言に惑わされて「ギリシャ国民が怠け者だから財政破綻した」などと同じ弱者をなじっていると、遠くない将来、日本が財政破綻するときに日本人は怠け者だからGDPの3倍もの借金を作った、”自己責任だ!”、”自業自得だ!”と言われるようなります。日本人は世界一勤勉で働き者だから、太平洋戦争の廃墟から立ち直って、GDP第二位の経済力をつけたのではなかったか?
  弱い者を守るのが強者(エリート)が持つ「慈」「恕」であり、世代間格差論で消費税増税、TPP加盟を決めるのではなく、「慈」「恕」の心で優先順位をつけて欲しいと願うばかりです。
 
 と願いつつ、それは弱者の叶わない願いなのでしょう。このまま消費税増税、TPP加盟へと突き進み、それでも国の借金は減らず「日本人は怠け者だった」といわれる日がくるのでしょう。今この日本列島で「己は弱者」と認んずるひと(もちろん僕もその一人)は、”自立心”を奮い立たせて、テレビのCMに刺激される欲望を抑えて消費者を止めて、生活者として来たるべき未来の衝撃を和らげるべく備えたほうがいいでしょう。
 余談ですが、今朝のテレビ報道でも、円高を鎮めるために米ドルを9兆円を買ったと報じています。一方で日米欧中央銀行が協力してヨーロッパの金融機関に米ドルを供給(米ドル安、円高要因)するとも報じているのです。空洞化阻止、国内雇用確保という虚言を弄して為替介入しても空洞化どころか、一時的な円高阻止にもならないことは360円から75円へのプロセスをみれば明白なことです。
 医療、介護、教育、といったその土地に住む住民のインフラ、農業、漁業、林業といった国土に根ざした産業は、海外に出ていくことはできません。工業は一時的に留まることはあってもコスト比較でいずれはアジア・インドへと出ていくのです。今守るべきは日本列島に住む海外に出ていけない弱者を守る生活の基礎的インフラだと思うのです。

|

« オリンパス粉飾事件の意味するものは? | トップページ | 明けましておめでとうございます。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/53344188

この記事へのトラックバック一覧です: 安易に”世代間格差論”に与しないで!:

« オリンパス粉飾事件の意味するものは? | トップページ | 明けましておめでとうございます。 »