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2012/04/22

「『武士道』賛美」と「ものづくり賛美」に共通するもの

最近、若い世代の知的な方々が新渡戸稲造の「武士道」を称揚する光景を目にします。曰く「日本人らしさに覚醒せよと!」今の日本の「政・官・財・学」の指導者層の有り様を見ていると、その苛つきも、わからないわけではないのですが。
 また一方でテレビ報道のビジネス系の番組でも、「『もの』づくりの国、日本」「『技術』の国、日本」といった論調が目立ちます。へそ曲がりの僕は、ちょっと心配になります。大丈夫か日本人と。
 新渡戸稲造が「武士道」を書いた元は確か英語だったはずです。僕が初めて読んだのは日本語でしたから翻訳物だったはずですね。「武士道」が書かれた当時、西欧人はキリスト教者以外は人間ではない、動物と同等と見做して、アフリカ、南北アメリカ大陸で非キリスト教者を殺戮、征服してきました。その暴力が当にアジアに及んできた、その外圧に目醒めて明治維新が起きたのです。
 日本人は、西欧人が考えているような野蛮人ではない、「西欧の『騎士道』は日本では『武士道』というのだ」という想いが新渡戸稲造に筆を取らせたのではないでしょうか。

見方を変えれば、日本のPR本だったのではないでしょうか?。それがいつの間にか日本人の美徳であると軍国主義に利用され、今日に至っています。頭から「これぞ日本人の美学」と信じてしまうのはさて、いかがなものかと。
 ものづくりの日本、技術立国の国日本の代表たるパナソニック、ソニー、シャープといった超大企業が揃いも揃って、大赤字で呻吟しています。松下幸之助が作った二股ソケットは「もの」なのか?井深大のトランジスタラジオは「もの」だったのか?そしてシャープの卓上電子計算機いやいやそもそもシャープペンシルは「もの」だったのか。
 昭和41年春、初任給2万5千円の新入社員の僕に、上司が買い与えた30万円の卓上電子計算機は「もの」だったのだろうか。
 日本人の若者に向かって「武士道」を称揚する風潮、日本人の若者に向かって「ものづくりの国」を称揚する風潮共に根っこは同じではないかと心配になります。共に「内向きの姿勢」、「かごめ、かごめ、籠の中の鳥は、・・・・・・・」と。肩を組んで、内を向いて、輪になって、座って、目をつぶっている子供(若者)たちの光景が浮かんできます。この唄の最後は「後ろの正面だあれ」です。
 石原慎太郎都知事の「尖閣列島を買う」発言も同工異曲です。今こそエネルギー溢れる日本人は、黙々とアジアへ向けて出ていくとき、内に向かって、喚くのは「匹夫の勇」百害あって一利なし」ではないでしょうか?
 

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