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2014/01/10

映画「かぐや姫野物語」を観て(2)現代の絵巻物語

映画は素晴らしいの一言尽きる。アニメ、漫画、劇画といった言葉のいずれともいい難い。現代の絵巻物語です。水彩画を思わせる絵の中に鳥、虫、けものが生き生きと躍動し、草、木、花自然が光に包まれて輝いています。微妙な光、微かな影、しなやかに織衣の舞う風情も、すべて水彩画の淡い色使い。映画の中でかぐや姫が絵巻物を一気に広げるシーンがあります。平安貴族が学び楽しんだ絵巻物語です。映画「かぐや姫の物語は、一庶民の老夫婦にもたった千円で見せてくれる極上の、現代の絵巻物語です。
 CMのシーンでは怖い顔をして疾駆するかぐや姫を観て子供にはむかないのではと思われた方も多いやに聞いていますが、ぜひ子どもたちにも観て欲しいいのち溢れる絵物語です。
CMが語るかぐや姫の罪と罰とはなんなのか?「生への執着」という罰を背負って地上に生まれたはずのかぐや姫、育ての親、竹取の翁と媼の子供のためにという一途な愛情が、心ならずもいくつもの愛憎を生み、幾つもの別れをつくる。翁媼の愛情に応えたいと思いながらも、その愛憎、別れに苦しみ、心ならずも、言ってはならない言葉を漏らす「迎えに来て」と。一度発した言葉は消えない、戻せない。言ってはならない言葉を漏らしてはじめて生病老死、愛別離苦に喜び笑い哀しむこの世こそ、罰として生まれたはず、罰として与えられたはずの「生への執着」こそが「今ここ」を生きる意味なのだと映画は語りかけているように僕には思えました。
 主題歌「いのちの記憶」は「いまのすべては過去のすべて・・・・」「いまのすべては未来の希望必ず覚えているいのちの記憶で」と歌っています。そして「まつとしきかば今かへりこむ」と。
 宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」に流れる爽やかな風の匂い、高畑勲監督の映画「かぐや姫の物語」全編を包むしなやかな光と淡い影、この異質な芸術がスタジオジブリという一つ屋根の下から生まれることに驚く、異質が共生する「今ここ」という場が孕んでいる創造性、生命力なのだろうか。一観客としてスタジオジブリと「今ここ」を共有させてもらえることに大いなる感謝を捧げたい。高畑勲監督も、観客も「まつとしきかばいまかえりこむ」と宮崎駿監督に語りかけているようにも聞こえてきます。

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