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2015/01/31

<棹秤を自分で持つ>

  2015年1月22日(金)ECB(欧州中央銀行)が向こう一年半の間に150兆円余のユーロの量的緩和に踏み切ると報道しています。日銀の黒田マジックを追うこと2年、FRBのQE3を追うこと6年、これで経済先進国のすべてが大量の通貨を増発することになりました。量的緩和とは大量の紙切れ通貨の大量増発ですが、先を行くFRBは年央にも増発した米ドルの圧縮をはじめると噂されています。この量的緩和に共通しているのは、目標を物価上昇2%、紙幣の増発は中央銀行が国債を買い込むという手法を使っていることです。

<国債マイナス金利広がる>2015年1月24日日本経済新聞記事

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC23H0C_T20C15A1EA2000/

 この記事にみられるように国債の金利がマイナスで取引されています。これは各国中央銀行が額面より高い価格で国債を買い入れている、つまりそれだけ中央銀行が含み損を抱えつつ量的緩和をしているということを意味しています。物価上昇目標2%が実現しなければ(恐らくしないでしょう)いずれその含み損が現実のものとなり国の負債として表に現れるというわけです。

<図1.試算表恒等式>
Photo


 国も企業も家庭(個人)もそれぞれの経済活動の背景に<図1>試算表恒等式があります。今の先進国の量的緩和も国の試算表の上に当てはめてみれば全体像が見えてきます。世界中の国家、企業、家庭の“今ここ”は試算表恒等式を通してすべて分かち難くつながっています。地球の上のすべての人々の家庭、国家、企業があたかも右手と左手仲良く手をつないでいるように、誰かの右手は誰かの左手とつながっているのです。

今の通貨は、どこの国も物的裏付けのない純粋紙切れ、裏付けは“信頼”だからこそいつも何かにモノに取り憑いていないと不安に襲われる浮遊霊なのです。原油価格が暴落、又新興国の外貨準備も減少しつつありますがこれも原油から、そして新興国から浮遊霊が離れ始めている表れともみえるのではないでしょうか。アメリカ由来の浮遊霊であり国際通貨米ドルがじわじわと母国へ還流しはじめているようです。量的緩和の後追いをしている日本由来の浮遊霊もヨーロッパ由来の浮遊霊もその還流の後を追ってアメリカへ向かっているのではないかと囁かれています。

実物経済の産業資本主義が終わり金融資本主義と命名される時代を生きる今、実物経済の動きから“今ここ”の現在を考えるのではなく、浮遊霊の増殖やその取り憑く先から未来の“今ここ”を見る視点が必要だと思うのです。

今回の表題の「棹秤を自分で持つ」の棹秤は、右と左のバランスでものの量を測るものです。貸借対照表はB/Sと略称しますがバランスシートのこと、右と左第Ⅰ象限と第Ⅱ象限が必ずバランスすることからそう呼ばれています。しかしバランスするといっても常に静的にバランスしているのではありません。第三象限と第四象限の差異を吸収(緩衝)することで動的にバランスしているのです。人間の日々の営みの見えないところに流れている第Ⅰ象限→第Ⅱ象限→第Ⅲ象限→第Ⅳ象限と刻々と循環しながらバランスしているのです。これも棹秤の一つです。

棹秤について2005年にブログに連載したものです。お手すきの折クリックしてください。

<棹秤と紙幣(1)棹秤の分銅が紙幣に>

http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2005/10/post_63ef.html

<棹秤と紙幣(2)原油の高騰>

http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2005/10/post_0d8c.html

<棹秤と紙幣(3)村上ファンドも>

http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2005/10/post_0be2.html

<棹秤と紙幣(4)投資信託も>

http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2005/10/post_e6be.html

<棹秤と紙幣(5)楽天も>

http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2005/10/post_e510.html

棹秤と紙幣(6)自分の棹秤を

http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2005/11/post_c928.html

 

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