« 残雪の唐松岳を歩く | トップページ | 「水とお金のアナロジー」 »

2015/07/07

お奨め書名「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール著

書名「帳簿の世界史」
著者 ジェイコブ・ソール
出版社 文芸春秋
 今東芝の粉飾決算問題もあり、時宜を得た一冊です。1929年の大恐慌、リーマンショック、世界経済を揺るがす大事件でも公正を期するはずの会計監査法人も総掛かりの粉飾決算が明らかになっています。にもかかわらず帳簿(複式簿記)の重要性はますます高まっています。腰巻きには「権力とは財布を握っていることである」とあります。今時のギリシャ問題の本質もこの腰巻きの一行に象徴的に表れています。ユーロに加盟した瞬間に加盟国は国家としての権力を手放していたのです。自由に離脱する術はないのです。古代ギリシヤ悲劇は神々の悲劇ですが、現代のギリシャ悲劇は直接的にギリシャ庶民の悲劇です。日本の庶民層にとってもいつか来る我が身の姿かもしれません。  

 著者は欧米の国家、会社、一族、個人の盛衰の歴史の裏に秘められた会計の物語を生々しく語り起こすことで、あらためて簿記会計の重要性を説いています。日本人に人気の高い陶磁器ウェッジ・ウッドの創業者ジョサイア・ウェッジウッドは会計のみならず原価計算にも長けていた。「ジョサイア・ウェッジウッドの見ることろ、富裕層は多少値段が高くなっても気にしない。しかしほんのわずか値段を上げただけでも、中流層は買わなくなってしまう。したがって、富裕層向けと中流層向けの製品は別々に開発する必要がある、と結論づけている。」と記しています。デフレ、デフレと低価格戦争に没頭してきた日本のビジネスマンには耳の痛い話でもあります。
 原題は「THE RECKONING」、「帳簿の世界史」の和名になっていますが、正確には欧米史です。詮索はともかく「帳簿」というだけあって古代バビロニアの記録から説き起こし複式簿記へと発展してきた経緯を明らかにし、国家、会社、一族、個人、各々の盛衰に会計リテラシーが重要な役割を果たしてきたことを解き明かしています。  とりわけ帳簿が複式簿記へと発展し、貸借対照表を作成するようになるに及んで個人、一族、会社、国家、の衰亡に貸借対照表の借方(左)と貸方(右)のバランスが大きくかかわっていることがみえるようになりました。
 為替の変動、世界中の通貨量大膨張で貸借対照表の借方貸方の金額が著しく増減したり評価が変わったり自国通貨で評価を見ているだけでは安心、安全を守れなくなっています。 
 国家経営、会社経営、家庭経営、個人の人生経営に会計リテラシーが必須なことがわかります。一度書店の店頭で手にしてみてください。

|

« 残雪の唐松岳を歩く | トップページ | 「水とお金のアナロジー」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50017/61851597

この記事へのトラックバック一覧です: お奨め書名「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール著:

« 残雪の唐松岳を歩く | トップページ | 「水とお金のアナロジー」 »