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2016/06/10

目標達成力と目的思考力

 マスコミは舛添都知事の金銭問題で持ちきりです。ですがこういう批判に同調していては、他者を己れの鏡とすることはできないと思うのです。今の日本を映した姿として提示された問題でもあると思うのです。「他者は己れを映す鏡」ですから。 
 目標達成力と目的思考力という視点から見るとこの問題を「己れの姿を映した鏡」として捉えることができるのではないでしょうか。

 舛添都知事は極めて能力豊かな方です。東大卒業という大きな目標も首席級で難なくクリア、ついで東大助教授にもなってしまいます。その後は参議院議員トップ当選、政党党首、都知事と誰でもがなれるわけではないポジションを次から次へと難なく手に入れてしまうのです。恐るべき才能です。しかしその目標それぞれを達成した後、そこで何をなしたかはあまり伝わってきません。外から与えられた目標を達成する能力は極めて高いのですが、「何のために」という目的思考力が欠如しているように思えるのです。目的思考力が欠如しているがゆえに、目標を達成した途端に無能レベルに達してしまうのではないかと思うのです。
  議員という集団に紛れていれば目立ちませんが、都知事というたった一人の権力の頂点の椅子に座ってしまうと、椅子を手に入れた目的がないがゆえに、マスコミに騒がれるような行状に終始してしまったのでしょう。
  目標は目的達成のための手段に過ぎないのですから、目的なき目標は、単なる己れの欲望の一里塚、すべては外から与えられたものです。目的思考力の無い人は、外から目標を与えられないと、自ら目標を設定することはできずに、たちまち無能レベルに達してしまうのではないでしょうか。
 目標は目的のための手段に過ぎません。現実には目標は達成していなくても目的を達成しているということはしばしばあります。又目的さえ明らかなら目標を達成できなければ、別の目標を設定すればいいのです。目標は手段に過ぎません。目的が無いと、設定した目標にこだわって種々の問題が発生してしまいます。
 目的思考力とは「内なる問い」。「何のために」「何のために」と内なる己れに問い続けた末に生じる目標こそ、己れ自身の目標として貴重なのだと思います。今シャープ、東芝、三菱自といったかって一世を風靡した日本の企業の蹉跌が頻発しています。これらの現象も舛添現象のように思えます。目標達成能力は極めて高いが目的思考力のない経営者をトップに頂いた日本企業の悲劇といえるのではないかと思います。「会社とは?」「シャープとは?」「東芝とは?」と、深く問うことなく、売上、利益、株価といった青天井の数値を目標として掲げていると、いつのまにか企業の存続も危うくなります。
 今朝の日経朝刊トップに「株で役員報酬広がる」の記事があります。役員報酬として自社株を与えるというものです。記事にはストックオプションよりは中長期目標に連動するとありますが、同工異曲、目糞鼻糞の論理にみえます。たとえ株主資本主義を是認し「会社は株主のもの」を認めたとしても、会社は株主と経営者との関係のみで成り立っているものではありません。会社はその時々の株主・経営者・社員・顧客・取引先等々利害関係者との“今ここ”の関係性によって存在しているのです。人間個々人もやはり“今ここ”の関係性によって存在している、ステークフォルダ型といおうがストックフォルダ型といおうが、すべては「“今ここ”の関係性こそ実在」という視点から「何のため」「何のため」と「Why」を問い続ける内から、自ずから生じる目標が目的のための手段として相応しいのだと思うのです。
 パナマ文書の話題もマスコミから消えていきそうですが、かの文書、目的思考力は失ったものの目標達成力は極めて高い方々の顕彰の碑でもあるのかもしれません。舛添都知事がもし人生の早い時期に「お金」を目標に定めていたら、その目標は無限であるがゆえに、そして目標達成力も際立って高いがゆえに、顕彰碑に名を刻まれる名誉は受けても、今のようにマスコミに晒されたり議会で糾弾されるような惨めな姿にはならなかったかもしれません。
 目的思考力は内なる己れに問う「何のために」。「人生にとって目的とは?」チャップリンは映画「ライムライト」の中で「人生に目的なんてない」と喝破しています。「何のために」「何のために」の絶対自己否定の底で触れるものは「絶対無」、チャップリンもそこに触れていたのかもしれません。その「絶対無」から湧き上がる絶対肯定の「目標」とは何か。目的と目標も“今ここ”の絶対矛盾的自己同一なのでしょう。「他者は己れを映す鏡」とはいえ、己れも罪悪深重煩悩熾盛の凡夫悩みは尽きません。(苦笑)

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