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2019/03/10

「カードは時間の表象」ー他者の存在に気づく契機ー」

  <図1.カードは時間の表象>

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1.お客様という他者(客体)
お客様カード」、「意思決定カード」、「リスクカードを引く」の三種のカードは、時を表している。会社盤が「ここ(空)」であり、カード(時・今)が回ってきたとき、「『今』と『ここ』」という時空が口を開ける。時空が開いたときが己れという主体性が刹那に立ち上がるのです。
 
「お客様カード」が存在しない、自ら販売の意思決定をするスタイルの経営体験(図2)では、六角形の盤上をマーケット、市場と呼び盤を取り巻く6人の参加者には他者の存在は見えない、6人は互いに敵同士、自我と自我、主体と主体がぶつかり合う闘争の世界になってしまいます。「より良いものをより安く」「売り込む」という姿勢になってしまうからです。
 
ところがお客様カードは、己れ自身は何も意思表示はしないのですが、突然6人の間に他者として割り込んできます。お客様という共通の他者の存在を介して6人の参加者がお互いを他者として意識するようになります。お客様との場(時空)を介して6人も「場」(関係性)を共有するからです。(図3.-関係性を生きる-)

                           <図2.生産者と消費者>
20190310_3 A~Fは個としてのお客様との関係性の「場」であって市場、マーケットという経済学的な抽象化した論理的なものではないのです。「Aの場」で出会う個客は満足すると40MG払うと意思表示しています。「Fの場」の個客は100%満足しても20MG以上は払うつもりのない個客、A~Fは顧客ではなく、個客との出会いの場です。お客様カードを引いた参加者Wが自ら主体的に個客との関係性を選んでいるのです。「100万回生きた猫」の主人公トラネコが気づいた主体性です。

そして、会社盤上に意思決定によって散りばめたCS-Pは、己れの意思決定によって醸し出した「選ばれる条件」であり、会社盤に満ち溢れる磁場のようなものです。たとえ声高に叫んだとしてもそれは自ら「個客を選ぶ条件」ではなく「個客に選ばれる条件」なのです。万一、間違ってプライスカードを最高価格(緑の白抜きの数字)を超えて提示しても、それはコールミスではなく、最高価格からCS―Pを差し引いた価格が、お客様が感じた「お値打ち」だということになります。

<図3.関係性を生きる>
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2.意思決定による会社盤の変化

他者の存在に気づくもう一つの契機は意思決定カード引いた刹那に「時(今)」と会社盤(ここ)が「”今ここ”」として時空が開き主体として意思決定(行動)ができるのです。その時空は意思決定カードを引いた一人にのみ開くのではなく、他の5人にとっても意思決定こそできないものの、同時に“今ここ”として時空(関係性)を共有しているのです。なぜかというとカードを引いた当事者が意思決定することによって会社盤上の経営資源の配置が変化したり、材料仕入れによって、「場」の材料個数、材料単価の状況が変化するからです。残りの5人の会社盤上に変化はないので、目には見えませんが、関係性として、変化が起きているのです。5人のこれからの意思決定に潜在的な影響を与えているのです。

いつでも意思決定できるルールBとルールAとを統合して戦略、戦術としてカード上に記載し、時の開かれた“今ここ”の刹那の現在のみ意思決定(行動)ができるようにした所以です。

3.「リスクカード」は未来の不確実性の譬え

 人間の意識としては、時は過去から未来へと流れているように思えます。しかし今日は昨日にはなりますが、明日になるわけではありません。明日は今日になり、今日は昨日になるのです。「リスクカードを引く」のカードは、未来の不確実性を今日に運んでくる役割をしています。P・F・ドラカーも「未来において確実なことは『未来は不確実だ』ということだけだ」と語っています。

 不確実性とは他者のことです。己れの意識は言葉によって生起する「ものこと」ですから、すべて己れを主語として対象を他者として「ものこと」をとらえざるをえません。日頃「利他の精神」と声高に唱えていても、己れの意識は主体と客体と関係を逃れることはできないからです。他者は他者として主体と客体ですから、人間社会の「ものこと」は、他者と他者の主体のぶつかり合いであることを避けることはできないのです。

そして3.11の東北大地震で日本人が体験したごとく、大自然も他者の一人に違いありません。さらに夢とか計画とか、未来の己れも、現在の己れにとっては他者の一人です。

己れ自身が絶えず変化していくから、未来の夢も変わってしまうからです。“今ここ”の現在、己れと思っている、己れ自身さえ、過去の残滓(他者)を引きずっているのです。

 「研究開発成功・失敗」(未来)を引いても過去に「研究開発投資」(過去の残滓)をしていなければ成功も失敗もないのです。

4.ゲーム盤は宇宙の譬え

 誰もカードを引いていないときは時空が閉ざされた「絶対無」(西田幾多郎)、「無」(老子)「仏性」(大乗仏教)などなど、言葉化された「関係性の場」の譬え、そしてゲーム盤さらに教室全体が無限の宇宙の譬え、会社盤は己れの身体の譬えです。その身体と己れの主体を絶対矛盾的自己同一の己れ自身として森羅万象と他者との関係性を生きていくのがマネジメントゲームの経営体験と考えたいのです。

講座の冒頭に二日間の間に気づいていただきたい四つの第一に挙げた「経営は複雑系」「『縁』という偶然の活く世界」を体感していただきたいと願っています。

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