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2019/11/21

書名「負債の網」エレン・H・ブラウン著を読む

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書名「負債の網」
著者 エレン・H・ブラウン
出版社 那須里山舎
 MMTのTは「Theory」のT、当然ながら極めて論理的に語られています。だから大部のわりにとても分かり易い、分かりやすいがゆえに著者が書き込めていない「こと」、読者が読み落としてしまう「もの」もあるのかもしれません。「MMT-現代貨幣理論」を裏うちする書として押さえてきたい一冊です。
 昨春公開された映画「KUUKAI」の原作者夢枕獏さんは空海に口寄せしてこう語っています。「この世で最も大きいものそれは言葉、最も小さいものそれも言葉だ」そして「言葉は器だ」と。この世のすべては言葉の器に盛ることができると。人間の生きる現世とは言葉の世界だといっているのでしょう。だからこそ言葉の器に盛れない五官で捉えることができない「何か」があるといっているのだと思います。今日企業でも多様性とかダイバーシティとか声高に語っていますが、器そのものは空っぽの虚の空間、さて多様性、ダイバーシティという器に何を盛るのでしょうか、経営者の価値観がそして経営哲学が問われています。 
 この「MMT-現代貨幣論入門」の中ほどに「『悪』に課税せよ、『善』ではなく」とあります。読者が見落としてしまいがちな大事なフレーズです。所得税の累進税率を上げるのは所得再分配の原資を得るためではなく、企業の経営幹部の悪行を減らすことだとあります。いくら稼いでも徴税されてしまうなら、程よく止めておこうと考えるかもしれない。竹中平蔵さんが声高に叫んだトリクルダウンが起きないことは始めから分かっていたことなのですから。
 平家の怨霊に取り憑かれないように耳なし芳一の身体に書いたお経のようなものなのでしょう。通貨は債務証明書と視点を移動したようにです。
 政府が雇用創出のために財政支出せよ、といったテーマにも多くのページを割いています。けっして福祉政策とか社会主義というステレオタイプの視点ではないのです。
 この「現代貨幣論入門」の器から漏れているのではなかと思われることを掬い上げている器と思われる書物が今年3月に出版された「負債の網」(エレン・H・ブラウン著)です。
 MMT理論の理解に深みをもたらし、今日の世界情勢を通貨の視点から見直す好著です。現代の不換通貨を成り立たせている、眼に見えない貸方は「何か」、その「何か」を浮遊霊にするか「いのちの活き」にするかも己れの価値観次第なのかもしれませんね。通貨も言葉から派生した器の一つですから。

 

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