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2020/04/26

<「私たちの祖先発見-古細菌を培養、進化の謎解明へ」>

2020年4月26日 「日経新聞朝刊ーサイエンスー」
<私たちの祖先を発見ー古細菌を培養、進化の謎解明へ>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58451160U0A420C2MY10
 新型ウィルスは新型といわれるだけに、いまだにわからないことも多いようです。この機会に「生物とは何か?」を考えてみるのも一興ではないかと思います。本記事はそのためにも格好の記事です。
 現在の地球上の生きものは①古細菌(アーキア)、②細菌(バクテリア)、③真核生物の三つのタイプに分類されるそうです。現在の動植物・キノコ等の菌類、もちろん人間も、③の真核生物に分類されています。
 無酸素下に生息していた最古の生きもの①古細菌(アーキア)にとっては、27億年前に登場した②細菌(シアノバクテリア)が光合成する際に生成する酸素は有毒物質でした。
 この酸素という有毒物質に耐えかねた①古細菌(アーキア)は苦し紛れにシアノバクテリアと共生し、それがミトコンドリアに進化(変化)したのだそうです。そしてそれは、さらに真核生物へと進化(変化)してきたのだと。
 生物学者中村桂子さんは著書「生命誌とは何か」(講談社学術文庫)に「進化を英語でいうとevolutionです。evoluveは巻物を開いていく時などに使われる言葉ですから、これも展開でしょう。どうも進化というと進歩とまぎらわしく、一定方向に進んでいくようなイメージを与えるのではないか」と著しています。
 ダーウィンが「種の起源」を世に問うたのは1859年あたかも産業革命の真っ只中、近代化の渦中でスペンサーの社会進化論と絡み合ってダーウィンの進化論も「進化とは進歩である」と直線的時間観の中に組み込まれていったのでしょう。
 日本語として「進化」という語ができるのもまさに明治期の近代化の真っ只中でした。ポスト・コロナの社会では進歩史観を卒業して、価値観を「進化とは変化であり、展開である」と転換したいものです。
 2020年4月25日の日経新聞朝刊の書籍紹介欄の記事と合わせて読むと一層興味深いです。 「生命の〈系統樹〉はからみあう」ー寄せ集めでできた我らの体ー
 デイヴィッド・クォメン著
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO58452030U0A420C2MY7000/?n_cid=SPTMG002
 評者の太田博樹東大教授は、「ヒトのゲノムの約8%がウイルスに由来する。「胎盤形成はウイルスの仕業」など、ウイルスが跳躍的進化の引き金になっている可能性は少なくない。ヒトの身体は約37兆個の細胞でできているが、その約3倍の細菌と共生している。」と記しています。
 新型コロナパンデミックへの対応も人間社会の新しい”展開”の一歩、生物誌の一ページに加えられることになるのでしょうか。

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