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2020/04/15

<本当に人間と新型コロナは闘っているのか?>ー生命誌マンダラからみるとー

<本当に人間と新型コロナは闘っているのか?>
 Img_2537 新型コロナウィルスは今も時々刻々と世界中へ蔓延し、留まることを知りません。こんな状況から、「新型コロナとの戦争だ!」とか、「新型コロナと闘う!」と、勇ましいフレーズが飛び交っています。子供のころから臆病で喧嘩に弱くっていつも逃げ回っていた僕にはこの「闘う」という言葉に出遭うとたちまちその場から闘争ならぬ「逃走」してしまいたくなります。
 眼に見えるものならいざ知らず電子顕微鏡でやっと見える微小な「生きもの」とどうやって「闘う」のでしょうか。現実に今、世界で行われている新型ウィルス対策も闘っているのではなく、ひたすら接触を避け、無用な闘いを避ける姿勢ではないのでしょうか。
 生物学では、ウィルスは生物と無生物の間の存在ともいわれています。生物学者福岡伸一さんは新しく「生命とは動的平衡にある流れ」と定義しています。この定義に従がえば新型コロナウィルスはれっきとした「生きもの」です。そして人間も「生きもの」。
 「生きもの」としての人間のゲノムには38億年前に地球上に誕生した「生きもの」のDNA(遺伝子)から今日まですべての「生きもの」のDNAがヒトゲノムとして連綿と受け継がれている(流れている)こともわかってきています。
 例えば人間の一つ一つの細胞にはミトコンドリアというかって独立した「生きもの」であった、生きものが独立したDNA(遺伝子)を保持したまま一つ一つの細胞の中に数百個存在しているといわれています。38億年の間の「生きもの」の動的平衡(破壊即創造)の流れの歴史がわれわれ人間のゲノムに書き込まれた歴史ですから、その歴史は都度の新しい「生きもの」やウィルスとの闘いの歴史ではなく、ひたすらの共生の歴史ではないかと思うのです。
 新型ウィルスを闘いの対象と考える思考には、人間は自然の外に立って、自然は人間のためにあり、征服するもの、利用するものと、知らず知らずのうちに、己れの立ち位置を、神に準じる場においているように思えるのです。
 3月15日のTIME誌に「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか―今こそグローバルな信頼と団結を-」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読みました。「サピエンス全史」、「ホモ・デウス」と興味深く読んでいる読者の一人ですが、気になることがあるのです。ここにも「いかに闘うべきか」そのために「グローバルな信頼と団結を」とあります。立ち位置が人間主義に思えるのです。ウィルスとの闘いのための手段としての信頼と団結は、ウィルスを倒した後、次に闘う対象は、「誰に」、「何に」なるのでしょうか、今取りざたされている米中覇権の闘い、そしてそれは日本、EU、等々世界を分断する闘いの始まりでもあります。
 人間もそろそろ賢者のひそみに倣い、生命のひたすらの共生の「歴史に学び」、新型コロナウィルスとの共生のための「グローバルな信頼と団結」を目指したいものです。ところが、トランプ大統領は、すでに「WHOへの拠出金ゼロ」と叫んでポスト・コロナの世界へ向かって宣戦布告するという、哀しい現実があります。
 トランプ大統領、やハラリさんはさておき、人間も自然の内にあるもの、自然に「包まれつつ包む」存在という立ち位置から、“今ここ”の日本及び世界を見直して、ポスト・コロナの日本及び世界を考えてみるのも重要な一つの視点ではないでしょうか。
 中村桂子さんが著書「絵巻とマンダラで解く生命誌」に38憶年の生命の歴史を「生命誌」としてマンダラに描いています。空海の曼荼羅は中心に大日如来を置き森羅万象はすべて大日如来の化身という宇宙観、生命観を描いています。大日如来は「空」の化身、森羅万象は「空」の顕現ということになるのでしょう。
 著者はマンダラの中心、大日如来の位置に”受精卵”をおいています。受精卵には38億年の「いのちの活き」が、たたみ込まれて“今ここ”にあります。そしてそれが、地球上のすべての「生きとし生けるもの」へと顕現(展開)していく姿をマンダラとして描いています。
 著者が生命誌と名づけている「誌」は過去の歴史物語ではなくて、われわれ人間のゲノムに書き込まれてる“今ここ”の生きている「いのちの活き」のことです。
書 名 「絵巻とマンダラで解く生命誌」
著 者 中村桂子
出版社 青土社

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