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2020/05/16

書名「新装版 場の思想」清水博著<7日間ブックカバーチャレンジ第五日>

<7日間ブックカバーチャレンジ第五日>
書 名 「新装版 場の思想」
著 者 清水博
出版社 東京大学出版会
初 版 2003年7月(新装版2014年9月)
Jpeg_20200516134901  著者は「場の理論」を提唱しています。「生物の世界」で、今西錦司は「生物は空間的に構造的、時間的に継起的存在である」といい、生物を「生きもの」「生きているもの」と捉えています。一方で著者は「生きているものを生命の活きという観点から見ることが私の場の理論の立場である。」と。「いのちの活き」という視点で今西錦司と響き合っています。
 「いのちの活く『ところ』」を「場」と定義しているのです。そしてその「いのちの活き」は局在的活き(局在的生命)という個という側面と、遍在的活き(遍在的生命)という生命相互の繋がりと空間的な広がりをもった二重性をもった存在だというのです。
 著者は例えばなしに卵を使っています。二個の卵を殻のまま器に入れても個のままでなにもおこりません。二つを割ると、黄身と白身になり、黄身は黄身のまま盛り上がっていますが、白身どうしは広がって繋がります。個々の黄身のいのちの活きが局在的いのちの活き、拡がった白身のところが遍在的いのちの活き。その拡がった白身を黄身がいのちとして「活く場」というわけです。白身と黄身それぞれのいのちの活きは局在と遍在の二重性、同じではないけれど分けることのできない絶対矛盾的自己同一を生きているというわけです。
 卵を夫と妻とすると、黄身は夫、妻、個々の(局在的)いのちの活きであり、またその関係性の空間的時間的につながった、白身としての家族(遍在的)といういのちの活きの二重性ということになります。卵が一つ増えると、夫、妻、子供三つの白身の溶けあった関係性が家族という固有のいのちの活きです。器が家族なのではなく、三つの黄身のいのちの活く場としての白身が家族のいのちの活きなのです。この「器か?、いのちの活きか?」が映画「万引き家族」のテーマでもありました。
 企業も従業員、経営者、株主、顧客、仕入先等々関係者すべての個(黄身)のいのちの活く「場」が白身としての企業のいのちなのです。
 すべては、個と全体のいのちの活きの二重性を生きている存在なのです。昨年の流行語「One Team」も個々の選手のいのちの活く場がチームのいのち、チームとチーム互いのいのちの活く場がピッチそしてスタンドを埋め尽くす観客のいのちの活きもそのピッチに同在している、そしてテレビの前の観客のいのちの活きも。その全体が「One Team」という一つの場のいのちとしてあったが故に熱狂したのでしょう。
 宇宙は無限大の器であり、その器の中に森羅万象様々な黄身と白身が重層的に、局在(個)的ないのち、遍在(全体)的ないのちとして活く場でもあると著者はいっています。
 新型コロナパンデミックで個人、家庭、企業、個々それぞれの「いのちの活き」が危機に瀕している今、国家も個人、家庭、企業のいのちの活く「場」なのですから、その場のいのちの活きを全きものに統べることを政治に願わずにはおれません。
 西田幾多郎は著書「善の研究」の第十三章に「完全なる善行」を立て、「善とは一言にていえば、人格の実現である。・・・・その極は自他相忘れ、主客相没する所・・・」と著しています。著者清水博のいう「場」における「いのちの活き」の「全機現している状態」のことをいっているのです。
<家族のいのちの活く場>
最奥の宇宙→人間界(言葉の世界)夫、妻、子供の重層的に重なった「場」のいのちの活きが家族のいのちの活きという遍在的生命であり、関係する個々の局在的いのちがそこで活いている。
<いのちの居場所、居場所のいのち>
「居場所つくり」書名「もしイノ」岩崎夏海著を読む
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ
●参加方法は好きな本を1日1冊、7日間連続投稿する
【チャレンジのルール】
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ
●その都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする。

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コメント

<家族のいのちの活く場>
最奥の宇宙→人間界(言葉の世界)夫、妻、子供の重層的に重なった「場」のいのちの活きが家族のいのちの活きという遍在的生命であり、関係する個々の局在的いのちがそこで活いている。
<いのちの居場所、居場所のいのち>
http://net-ksk.cocolog-nifty.com/keiei/2016/01/post.html

投稿: 明賀義輝 | 2020/05/16 13:53

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