今読む! 小野善康著「不況のメカニズム」
出版社 中公新書(1893)
著者 小野善康
赤い腰巻には「世界はなぜ『100年に1度』の絶望的不況に陥ったのか」と興味深いキャッチコピーが書かれています。
日本では、1990年のバブル崩壊以後、国債残高は増加の勢いを増しGDPの二倍、まもなく1,000兆円に迫ろうとしています。いくら公共工事につぎ込んでも、金融機関の救済、円安誘導で輸出企業を後押ししても、企業の法人税を引下げ、所得税の累進を緩和し、相続税を引下げ富裕層(エネルギッシュな階層?)を優遇しても経済は回復するどころか、バブルの度に日本経済は活力を失ってきました。
民主党は「コンクリートからひとへ!」のスローガンの下、母子加算の復活、子育て支援、高校教育の無償化等々「ひとへ」の策を積極的に打ち出しています。これを「社会主義政策だ!」「大きな政府への道だ!」「国民の自立心を奪う!」「怠け者を作る政策だ!といって反対する方が沢山おられます。
一方「コンクリートから」の策としてダム、道路、空港建設など公共事業の見直しを進めています。これでは、停滞する未曾有の?経済危機は乗り越えられないと批判をします。
ベルリンの壁が崩壊してにすでに20年、世界が資本主義化した今日、財政政策を自由主義か社会主義かといったイデオロギーの対立に持込むには無理があります。
ケインジアンの著者は、ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」の章立てに沿って、この問題を経済学の素人にも分かりやすく丁寧に、純粋に財政政策として”コンクリート”(供給、生産、)サイドか?”ひと”(需要、個人)サイドか?どちらが効果が高いかを考えるときにきていると解き明かしています。
構造改革によって生産サイドの自由度を拡大し、経済効率を高める政策がいいのか?今までのように公共事業を推進するほうがいいのか?それとも富裕層から貧困層へ所得の再分配することで需要を喚起したほうがいいのか?失業問題?、内需拡大?等々、今が旬の一冊です。
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